2019 Fiscal Year Research-status Report
Research on CLIL for exploring the interrelationships between deepening subject specific content and improving noticing language structures among adolescent learners
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17K03010
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
柏木 賀津子 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (40549052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
種村 雅子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30263354)
宍戸 隆之 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (40331962)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CLIL / 小中連携の英語広育 / Usage-based Model / 手続き的知識 / 21世紀型スキル / フィンランドの教育 / 2元配置アセスメント / カリキュラムマネージメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、用法基盤モデルに基づく、小学区英語教育と中学校英語教育の指導内容の連携と文法指導を関連付け、その上でCLIL(内容言語統合型学習)の指導を行い、教科内容(理科・体育・環境)が深まる思考場面での英語使用を創り出し、言語運用を行っていく、授業実践を提案するものである。 令和1年度は、研究代表者および研究協力者らが、半年に及ぶフィンランド海外教育実習プロジェクトを行い12名の大学院生(現職を含む)と大学生の共同学習においてCLIL授業開発を行い、フィンランドのオーボ・アカデミー大学附属実習校と、ユバスキュラ大学を訪問し、現地の小学校でのCLIL授業を行った。一つ目は、21世紀の環境教育として、SDGsを扱った「サーキュラーエコノミー」の実践、二つ目は、ICTと表現、リズムダンスを創造する体育CLILの実践、三つめは、理科のストロー笛についてピタゴラスの韻律の原理に基づく音階づくりである。授業は全て英語で行い、フィンランドの小学生に考えを述べてもらうアクティブラーニングで行った。フィンランドでは2020年の現象ベースの学習への教育改革を行い、カリキュラムマネージメントによる教科連携の授業を行っている。授業観察を行い、教員らとのラウンドテーブルを持つと共に変化の激しい社会に向けて「学び方を学ぶ」指導について議論を行った。成果は12月14日に成果研究報告会を開催し周知した。「フィンランド海外教育実習ーCLIL授業開発」の報告書配布した。研究代表者は、令和1年12月21日(土)日本CLIL教育学会で招聘講演を行い、21世紀型スキルと理科CLILについて講演を行った(早稲田大学)。また、2019年12月8日には、日本経済教育学会より招聘を受け、経済教育におけるCLILの可能性について講演を行った。英語以外の分野でのCLIL指導の広まりを感じており要請に応えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実践面では、半年間のプロジェクトに拠るフィンランド海外教育実習で、教科内容を深化する授業開発が出来たこと、 研究面では、フィンランドの大学・教育機関での実践において授業アンケートや分析を行うと共に、その研究成果を論文や著書にまとめることができた。 研究の発信面においては、CLILと文構造の関連について、「用法基盤モデルとCLILに基づく英語の指導ー英米文学教材を題材にして」『英語のしくみと教え方』白畑知彦編著 くろしお出版 を著書としてまとめることができた。またCLILにおける「文脈と切り離さない文構造の指導」について、発刊が遅れていた『小・中学校で取り組むはじめてのCLIL英語授業創り』について、要約大修館2020年5月出版の運びとなった。これにはCLILにおける評価の在り方(2元配置アセスメント)や文構造の指導の在り方について、詳しく本科研の成果を執筆した。また、本科研による数年の海外教育実習における体育CLIL(2016年)の成果について「A Reflective Practice for Improving Teachers' Abilities in Conducting CLIL in Physical Education Classes in an Overseas Teaching Project」という論文にまとめ「日本CLIL教育学会紀要:JJCLIL Vol2」(2020年3月)に採択された。これは、研究協力者との共著であり、教科専門と英語専門との協働の成果となった。 また、研究代表者らが運営する、日本CLIL教育学会西日本支部としては、異校種・異専門の教科指導の教員らが集い、活若手・中堅の授業力育成を行うことが出来た。2020年度はこれらの実践者と共に、中学校・高校の内容についてのCLILの専門書共同執筆が進捗中であり、2020年8月に発刊予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年新学習指導要領のスタートに関連し、21世紀型スキルの育成とCLILの授業法は注目が高まるところである。2019年度は、CLILとSTEAMについて、アジア(ベトナムのホーチミン大学の教員養成とも協同)の留学生を迎え、連合教職大学院の「グローバルリテラシー」の講義で、現職院生らとCLILの協同じ授業開発を行った。フィンランドでのCLIL授業においても高い評価を得ることができ、日本の教科学習の深さが、英語による指導のCLILにも大きく影響することが明らかとなった、現在は、主に「環境教育・理科・体育・演劇・英文学・経済学」など、全ての教科との連携を行っており、これはカリキュラムマネージメントについて根底から良い授業を支えると考える。本成果については、2020年以後はNITS( )の採択プログラムとしても採択されたため、大阪府を中心とした自治体の教員研修や、免許法講習にも生かされる予定となった。2020年3月よりはCOVID-19の影響でオンライン講義への移行を余儀なくされたが、本科研で開発された授業は全てICT教材開発が済んでおり、代表者のホームページや学会ZOOM発表に結び付いている。英語だけを学ぶ大学講義の在り方よりも、参加者の教科の強みを掛け合わせることができるCLILの授業は、オンライン講義においても双方向の議論を可能にしている。そこで、今後の推進方策は次の三つである。1)学校での学びを止めないためのオンライン講義におけるCLILの指導の拡充 2)自治体との連携を深め、21世紀型スキルを育成する教員研修に役立てる 3)社会に貢献する教師として、英語をもちいた「環境」「経済」等の複合リテラシーを育てることに生かす。また、英語教育の関連学会だけでなく他分野の学会からのCLILへの期待・コラボレーションにも応えていきたい。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究内容について、研究代表者の学内研究費、および他の科研費でも余剰がでたたため、本科研費の余剰は次年度に繰り越した。2020年度は、成果物としての著書発刊をきっかけとした、オンラインセミナーとワークショップ開催などを計画している。
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Research Products
(16 results)