2017 Fiscal Year Research-status Report
日本人韓国語学習者の話し言葉に対する韓国人評価の研究
Project/Area Number |
17K03014
|
Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
崔 文姫 熊本県立大学, 文学部, 准教授 (00599467)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 韓国語学習者 / 話し言葉 / わかりやすさ / 印象形成 / 評価基準 / 探索的手法 / 韓国語母語話者評価 / 第3者評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本人韓国語学習者(以下、学習者)の発話を韓国語母語話者(以下、母語話者)がどのように評価するのか、また、その言語運用の評価と学習者に対して抱く印象にどのような関係があるのかを明らかにすることである。 そのため、平成29年度は、評価材料となる学習者の発話データを収集し、それを基に、母語話者による「わかりやすさ」に関する評価調査を実施した。具体的には、まず、日本人韓国語学習者6名(中級3名・上級3名)を対象に発話調査(「ストーリー・テリング」および「お薦め場所の紹介」)を行ない、学習者の発話を収集した。ストーリー・テリングの発話場面は、ICレコーダーで録音し、音声データとして保存した。また、「お薦め場所の紹介」の発話場面はビデオカメラで収録し、映像データも同時に保存した。映像データは、次年度以降の研究に活用するもので、今後も続けてデータを収集していきたいと考える。 次に、学習者の発話のうち、ストーリー・テリングデータ(音声データ)を用い、母語話者10名(韓国語教師4名・大学教員2名・大学生4名)を対象に、探索的手法による予備調査を行なった。その結果、本調査(量的調査)用の「わかりやすさ」に関する評価項目(32項目)が抽出された。 続けて、予備調査で得られた評価項目を整理し、本調査用の質問紙を作成したのち、2018年3月に、韓国語母語話者(属性の異なる母語話者197名)を対象に「わかりやすさ」に関する評価調査を実施した。母語話者が学習者の発話を聞いた後、質問紙にある評価項目に5段階で評価をする方法で行なったが、調査手順の説明および機器の操作などは筆者が担当した。 平成30年度は、今回実施した調査のデータを整理・分析し、研究成果の発表を行っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究にあたり、平成29年度は、まず、学習者の発話データ(評価材料)を収集した。それから、学習者の発話(音声データ)を基に、母語話者を対象にした「わかりやすさ」に関する評価調査(予備調査と本調査)を実施した。特に、本調査では当初の予定(約100人程度)よりも多くの母語話者(197名)から調査協力が得られ、期待以上の成果となった。なお、予備調査の結果(「わかりやすさ」に関する評価項目抽出)を紀要論文としてまとめ、発表することができた。以上のことから、今後の研究に向けて、概ね順調に進んでいると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度に実施した韓国での調査データを計量的に分析・検証し、学習者の発話の「わかりやすさ」に関する母語話者の評価観点(基準)を明らかにする。ともに、学習者の発話(音声データ)を文字起こしし、その文字化データと「わかりやすさ」の評価観点との関連についても分析を進める。
|
Causes of Carryover |
今回の差額は、調査協力者である母語話者(大学生約30名)が、(予定とは異なり)謝金の受け取りを拒んだため生じたものである。なお、今回生じた差額(15,989円)については、平成30年度に調査データの整理・入力を依頼するための謝金として使用する。
|