2017 Fiscal Year Research-status Report
ポルトガル語の能力評価システムと理想的な言語教育シラバスの確立に向けた基礎研究
Project/Area Number |
17K03021
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
市之瀬 敦 上智大学, 外国語学部, 教授 (20276512)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 朋子 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (30384176)
GIBO LUCILA 上智大学, 外国語学部, 助教 (30737218)
黒沢 直俊 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (80195586)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ポルトガル語教育 / 言語能力参照枠 / シラバス / 検定試験 / 達成度評価 / 第2言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度にあたる本年度においては,年度を通して、国内の教育機関における実態調査として上智大学,東京外国語大学,神田外語大学,京都外国語大学、天理大学でのポルトガル語教育のカリキュラムや達成目標,特色ある取組等について詳細な調査を行った.2017年10月15日に天理大学を除いた4大学の担当者を交えた研究集会を開催し,報告や聞き取りを通じて調査を行った.この調査に関しては主に研究代表者の市之瀬や分担者全員が担当した.さらに,このテーマに関しては,すでに日本ポルトガル・ブラジル学会の紀要ANAISに論文を分担者の吉野が中心にまとめ発表,掲載している. さらに到達目標との関連では,上記5大学での実態などにも踏まえ,投野由紀夫が提唱しているCEFR-Jとポルトガルポルトガル語,教養ブラジルポルトガル語,民衆ブラジルポルトガル語の3変種との具体的言語的対応を図るべくそれぞれのレベルに対応した詳細な例文集を作成した.例文集の作成は分担者の黒澤を中心に,ポルトガル人やブラジル人のインフォーマントの協力を得て完成している.この例文集はすでに黒澤の勤務校である東京外国語大学で試験的に学生に対してボランティア的使用を促しており,効果の検証や改善に向けた取り組みを行っているところである.例文集は,さらに,シラバスの策定に向けて文法項目との関連などを図るための基礎資料となる.加えて,収集成果や研究資料の整備等を行なっているほか試験的に検定試験の一部を作成している。なお,購入したPCにデータや情報などを集約して整理している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,日本における大学レベルのポルトガル語教育において,①言語能力評価システムの確立,②理想的かつ効率的な言語教育シラバスの明確化,③能力検定試験を通じた評価による教育方法の統合,の3点を目標とするものであるが,研究の初年度である平成29年度には,主に,全国的なポルトガル語教育の実態調査とCEFR-Jに連動するシラバス策定に必要な基礎資料となる例文集の作成を行った.当初の平成29年度の研究実施計画の骨子は,(1)大学レベルの教育機関のポルトガル語教育の実態調査,(2)調査結果の研究集会や学会での発表,(3)ポルトガル語教育分野に関する関連参考書籍や資料の収集,(4)CEFR-Jなど言語能力共通参照枠と大学レベルのポルトガル語教育の連動を目指した研究,(5)収集成果や研究資料の整備と公開,などであったが,(2)の学会発表は行っていないが,研究集会や学会誌での論文の発表などは行っており,さらに国内の主要教育機関に対する調査はほぼ完了していることやCEFR-Jとポルトガル語の言語レベルでの参照基礎もある程度できていることを考慮し,実態調査や成果の公開などに関して今後補っていかなければいけない点はあるものの,初年度の計画としてはおおむね達成されていると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初,平成30年度に対しては(1)日本型ポルトガル語言語能力参照枠と学士課程に即したポルトガル語教育シラバスの策定にむけた研究,(2)研究担当者をポルトガルに派遣し,言語教育や言語政策上の調査の実施,(3)関連参考書籍や資料の収集,(4)調査結果の学会発表,(5)能力評価検定試験問題の作成と検討,などを予定しているが,比較的順調に研究が推移しているので,前年度の成果を補う形でこれらの項目をひとつひとつ実行していく.前年度の実態調査では,それぞれの大学での達成目標などは詳細に調査されたものの,実際にどれだけの学生がどこまで達成しているかとか,CEFR-J準拠の例文集もポルトガル語プロパーな文体や内容などの面で十分とは言えないところもないわけではないので完成度の高いものとする試みや,シラバス作成のための分析を行っていく.さらに,能力評価や評価試験の枠組みでは,今年度はブラジル人ネィティブの協力を得て,試験的にボランティア的な学生を募り実験授業を行い,そこで言語能力評価的な試験を事前事後に実施して効果の検証なども行う予定である.
|
Causes of Carryover |
当初予定していた報告者の一人が出張できなくなったため、旅費が余りました。今年度は4名の出張旅費の一部に充当する予定です。
|
Research Products
(10 results)