2017 Fiscal Year Research-status Report
奥能登における真言宗結衆寺院の総合調査-町野・中居・木郎三結衆を対象として-
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17K03083
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Research Institution | Kanazawa Technical College |
Principal Investigator |
宮野 純光 金沢工業高等専門学校, 一般教科, 教授 (20413768)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 真言宗 / 寺院資料 / 奥能登 / 結衆寺院 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては、奥能登の真言宗寺院の中で、以前の科研費により調査を進めていた町野結衆寺院で調査が残った寺院(金蔵寺・西光寺)の継続調査の実施、また、未調査であった寺院(高田寺・法華寺・佐野寺)の調査を進めることとした。前回の調査同様、各寺院を訪問し所蔵する史・資料や仏像・絵画・版木・墓石などの写真撮影や採寸、銘文の記録などの調査を行い、各寺院の歴史や僧侶、所蔵資料の基本的データの収集を進めた。今年度では高田寺での調査は概ね終了したが、西光寺・佐野寺・法華寺では多くの新出の資料が確認され、金蔵寺の継続分と合わせて来年度以降の調査実施となる。 前回の科研費調査で、その存在が指摘されていた輪島市の金蔵寺旧蔵資料に関しては、京都種智院大学・和歌山高野山大学の内、種智院大学図書館所蔵の資料群の確認と調査を実施した。寄贈の記録の数には及ばないものの、200点余りの資料の存在を確認すると共に、約50点の調書を作成した。今後、継続して調査を進める予定である。明治期に寄贈された資料群のため、内容の精査によって金蔵寺資料群の伝来・形成過程を探る上で重要な事項が明らかになると考える。 町野以外の結衆寺院の調査にも着手するため、調査可能な寺院を探り、穴水町を中心とした中居結衆の地福院・千手院、能登町から珠洲市にかけての木郎結衆の不動寺・法住寺の調査を実施した。今後も調査可能な寺院にご協力頂き調査・データの集積を進めることにより、奥能登の三結衆の比較検討の材料としたい。 調査を行った、寺院の紙資料の中には、汚れやカビ・虫損の被害が見られるものも少なくはない。こうした資料を少しでも多く後世に伝えていくために、ご寺院側の協力を得て可能な限り良い状態で保存できるよう進めている。今年度は輪島市の天王寺・高田寺で、中性紙の封筒やもんじょ箱・桐箱などを利用し、資料の整理・保存を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた町野結衆の継続調査、金蔵寺旧蔵資料調査、中居・木郎結衆寺院の調査に着手することができ、いずれも進展がみられた。 町野結衆では継続調査の寺院に加えて、未調査であった高田寺・佐野寺・法華寺の調査に入り、高田寺はほぼ調査を終えることができた。 金蔵寺旧蔵資料調査では、種智院大学図書館でおよそ200点の資料が確認され、一部の調査を実施することができた。残りを来年度以降実施予定である。 中居・木郎の両結衆では、町野結衆の調査の合間に、各々2カ寺の調査を実施することができた。木郎の不動寺では未調査資料が確認されており来年度以降進める必要がある。事業終了までに、その他の数カ寺の調査を考えたい。 多数の寺院の調査を同時並行で行っているため、データ整理はやや遅れ気味ではあるが、初年度としては「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
町野結衆では以前よりの継続調査となっている、輪島市の西光寺・金蔵寺の調査終了を目指すとともに、佐野寺・法華寺では多くの典籍類が発見されているので、来年度以降調査を進展させ、町野結衆寺院の調査終了を目指したい。 金蔵寺旧蔵資料調査では、種智院大学図書館での残り調査を来年度以降実施していく。高野山大学に就いては、現状の確認から進めていきたい。 木郎結衆の不動寺では未調査資料が確認されており来年度以降進める必要がある。また、事業終了までに、中居・木郎のその他の数カ寺の調査を考えたい。 これらの調査を進めつつ、データの整理・充実を行い、個別事例の検討を深めると共に発表や論文等により公表し研究の進化を図りたい。
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Causes of Carryover |
予定していた研究協力者が急遽、調査に参加できなくなったため、調査に伴う調査費用(国内旅費・謝金)に誤差が生じた。 次年度の調査費用(国内旅費・謝金)として使用する。
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