2018 Fiscal Year Research-status Report
中国残留邦人帰国支援における民間活動の先駆的役割 -山本慈昭を中心に
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17K03098
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 信介 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (50422655)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 満州農業移民 / 中国残留邦人 / 帰国支援事業 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、満蒙開拓平和記念館に寄贈された史資料の目録作成を中心に研究を進めた。なお、本研究が課題のひとつに据えている山本慈昭関連の史資料については、阿智村が作成した山本が住職を務めた長岳寺の所蔵資料目録と平和記念館所蔵資料との照合作業を2019年度以降に行う予定である。また、2018年6月には、平和記念館の研修旅行に同行し、アウシュビッツ・ビルケナウ博物館公式ガイドとの意見交換や、ドイツ追放者との意見交換などを行った。 一方、2018年9月には、飯田日中友好協会の中国東北部友好訪問に同行し、中国残留邦人の現状を調査した。この調査では、自ら残留邦人と名乗り出たある女性と面談した。しかし、その根拠とされる書状が、経年などの理由で著しく劣化・破損しており、彼女を残留邦人として認定することが極めて困難であった。経年による「肉親捜し」の困難化を示す出来事であった。 さらに、岐阜県白川町でも現地調査を行った。とりわけ、11月の「乙女の碑碑文」除幕式では、「逃避行」の最中、集団で逃げる開拓団員たちを守ってもらうためにソ連兵に身を捧げた「乙女」の聴き取りを行った。 ただし、こうした調査を報告にまとめることはできていない。その最大の障害となった倫理規定をクリアして、2019年度にはまとめる予定である。 また、2019年3月30日に華東師範大学(中国・上海市)で開催されたシンポジウムにて、「高度成長期における日本農村社会の変容」と題する研究報告を行った。そこでは、本研究における史資料整理や目録作成の過程で把握した高度経済成長期の(主に長野県の)農村の姿をうかがい知ることのできる史資料が手掛かりのひとつとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
報告として文字化できていない調査があるが、そこで取り上げる予定の内容は、本研究の中心的課題ではない。これを踏まえると、おおむね順調と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(2020年度)を見据えて、山本慈昭に関する研究をより本格化させる。 また、それと併行して、2018年度調査の報告や、平和記念館所蔵史資料の整理で見つかった資料についても別稿をまとめる予定である。 なお、平和記念館所蔵史資料の整理については、継続して実施する予定である。
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Causes of Carryover |
旅費が当初見込みより安価であったため。 研究の進捗には影響していない。 2019年度の旅費として使用予定。
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