2019 Fiscal Year Research-status Report
Islamic Education of the Zawiyas and Its Ideological Influence on the Algerian Independence War
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17K03143
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
私市 正年 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (80177807)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アルジェリア / ナショナリズム運動 / スーフィー教団 / ザーウィヤ / イスラーム教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)4 月~7 月 ・・ a l - R a s h a d 、 a l - M u r s h i d 、a l - R u h の三つの史料から得られた 情報を比較分析し、ザーウィヤに おけるイスラーム教育が生徒たちの政治意識(独立運動)に与えた影響につ いてまとめた。 調査・研究の整理をかねて、日本中東学会・年次大会(5 月・秋田大学)にて「al-Ruh紙とアルジェリア・ナショナリズム運動」について報告し、ザーウィヤのイスラーム教育と独立運動との関係について論じた。 (2)9 月 ・・アルジェリアのモズタガネムに出張し、アラウィー教団が発行していた新聞Lisan al-din紙、およびal-Balagh紙の調査を行った。とくにザーウィヤのイスラーム教育関係について、道徳と倫理に関する記事を抽出し、反植民地主義的啓蒙教育が独立運動意識の形成に与えた影響について考察をした。出張の後半は、al-HamilのザーウィヤでFoued Kacimi 氏の協力を得てal-Rashad紙について同様の分析を行った。また収集 したザーウィヤの生徒たちの名簿をもとに、出身地域を図 表にする作業を行った。 (3)収集した新聞資料の中から、政治的記事を整理、分析した。とくに1945年5月8日事件については全く言及していないこと、それに反しイタリアのリビア植民地化やパレスティナ問題には積極的に発言することに着目し、これをスーフィー教団・ザーウィヤにおける「政治的ダブルスタンダード」の立場として分析し、そこにはスーフィー教団・ザーウィヤの隠れた政治的意図があるのではないか、との暫定的結論に達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.Lisan al-din, al-Murshid, al-Balagh, al-Rashadなど、スーフィー教団が発行していた主要な新聞資料を入手することができた。 2.入手した新聞資料の中から、道徳や倫理に関わる記事と政治に関わる記事を抽出し、考察を進めた。しかし、記事の量は多く、時間的な関係と記事内容の難解さのゆえに分析作業は70%程度に留まっている。 3.モスタガネムのアラウィー教団の資料調査ができたことは、非常に有益であった。とくにここのザーウィヤで発行していた新聞は複数あり、それらの新聞記事が、とくに農村の教団員にどのようなイデオロギー的影響を与えたのか、分析の具体的な手掛かりが得られてことは大きな収穫であった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)収集した新聞の中から道徳・倫理に関わる記事を分析整理し、それが教団員たちが独立運動に向かう上でいかなるイデオロギー的影響を与えたのか、という問題について分析を行う。 (2)収集した新聞の中から政治的記事を分析整理し、そこにみられるダブルスタンダードの立場が持つ意味を、教団員たちに対する独立運動へのイデオロギー的影響という視点から考察する。 (3)以上の二つの作業を行い、ザーウィヤにおけるイスラーム教育がアルジェリア独立運動に与えたイデオロギー的影響について一定の結論を出す。
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Causes of Carryover |
2019年度にアルジェリアで調査した際に、あらたに重要な資料(アラウィー教団が発行していた新聞)を入手し、その資料を分析にもりこむ必要があるが、そのためには1年間の研究期間の延長が必要となったため。
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Research Products
(5 results)