2018 Fiscal Year Research-status Report
The Historical Formation of Nationalism in China during the Early Period of the Cold War
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17K03149
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鄭 成 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授(任期付) (20386668)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プロパガンダ / 知識人 / 受容 / ソ連 / 文化交流 / 民衆 / 思想教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
冷戦期前半にあたる1950年代に、新たなナショナリズムが新生の中華人民共和国に形成された。そのナショナリズムが後に長くわたり、国民の自国認識と対外認識のあり方に影響を及ぼしつつあった。本研究は、当時のナショナリズムの形成過程を考察し、その特質の解明を目的とする。 ナショナリズムの形成を考察するにあたって、国民が共有する歴史的経験は重要な意味がある。1950年代の中国では、中ソ友好宣伝を中心としたプロパガンダ宣伝及びそれによって引き起こされた国民側の認識転換が当時の国民が共有する歴史的経験となる。本研究は、プロパガンダ宣伝をめぐる国民側の認識転換を考察して、国民の共有する歴史的経験の深層構造を明らかにし、当時のナショナリズムの特質を解明していくものである。 本年度(2年目)は、中ソ友好宣伝に対する青年知識人の認識転換、青少年の思想教育を中心に、上海档案館、復旦大学当代中国生活資料センター、華東師範大学当代史センターで資料調査を行い、そこで収集した日記、アーカイブ資料を利用して、資料分析と論文化を進めてきた。その中、中ソ友好宣伝に対する青年知識人の認識転換に関する研究は、2018年度アジア政経学会の「中国の政治と社会」セッションで学会報告を行い、研究者同士から多くの意見を得られた。学会報告の成果をもとにまとめた論文は『アジア太平洋討究』に掲載されている。また、青少年の思想教育に関する研究結果は2019年度内の公開が予定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで収集した資料をもとに、分析作業、学会報告と論文化を着実に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目の今年度は、主に三つのことを行う。一つ目は、これまで収集した資料に対して分析作業を継続し、その成果を学会報告と論文掲載を通じて公開する。二つ目は、上記の作業を行う際、必要に応じて、中国、アメリカの大学の資料センターに出向いて資料調査を行う。三つ目は、1950年代の中国社会の変動を研究する研究者同士と協力して、「建国初期の中国における国と社会の相互関係」(仮題)をテーマにワークショップを行う。同ワークショップで、この3年間での研究成果を踏まえて、1950年代のナショナリズムの形成を中心に、国と社会の相互関係を検討する。
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Causes of Carryover |
3年目の研究年度にワークショップを開く予定である。そのワークショップの開催経費を確保するため、最初の2年間の研究経費の使用額を調整した。
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Research Products
(6 results)