2018 Fiscal Year Research-status Report
第二次世界大戦期におけるオセアニア華僑の動態構造研究
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17K03151
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
菊池 一隆 愛知学院大学, 文学部, 教授 (00153049)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中国近現代史 / 第二次世界大戦 / 中国抗日戦争 / 太平洋戦争 / 華僑 / 抗日献金 / 日本品ボイコット / 後方支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、研究が極めて少ない第二次世界大戦期のオセアニアの華僑の中でオーストラリア華僑については前年度論文を発表した。したがって、本年度は特に研究が極めて少ないニュージーランド華僑の実態と構造解明に本格的に着手した。ニュージーランドのウェリントンにある国立図書館、ビクトリア大学図書館、オークランドでは公立図書館、オークランド大学図書館、及びオーストラリアのタスマニア州立図書館において華僑関係史料、すなわち雑誌、書籍、論文を調査した。その結果、英文の国民党関係史料やニュージーランドにおける華僑雑誌などを多く入手するという大きな成果をあげた。ただしオーストラリアのタスマニアを経でニュージーランドに至った華僑の移動に関する史料は遺憾ながら入手できなかった。 2、これらの史料に、すでに台湾などで入手していた国史舘、中央研究院のニュージーランド関連史料などを組み合わせ分析を加え、まず華僑の起源、歴史を明らかにした。その後、集中的に第二次世界大戦期を中心に華僑の移動、抗日動態を解明した。華僑個々人にも焦点をあわせ、入手した伝記などを梃子に彼らの各種動向に着目したが、オーストラリア華僑と異なり、ニュージーランド華僑の参軍例は少なく、むしろ後方支援に従事した。 3、上記各都市・地域の華僑街、華僑博物館などで現地調査をし、研究に魂を入れる作業をしたが、大学業務の関係から約20日間という短期間であったため、クライストチャーチなどを調査することができなかった。 4、「ニュージーランド華僑」を論文として発表したがまだ魂が入っておらず、内容、分析面で今後さらに強化する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1,計画通り、第二次世界大戦期のニュージーランド華僑の史料調査、現地調査、及び研究をおこない、関連する多くの華僑が現地で出していた中文や英文各史料、書籍、新聞史料、雑誌史料を入手した。この結果、論文「ニュージーランド華僑」を書き上げ、発表した。今後、これを補強し、著書『第二次世界大戦期のオセアニア華僑』(仮題)の重要な柱とする。 2,各地の華僑博物館、華僑街で現地調査、各種聞き取りをおこない、多くの研究のヒントを得た。特にニュージーランドでは、華僑は遺跡を実施していたが、戦時期には労働力不足から華僑農民による農業生産・販売が重要な意味を有した。それに伴い華僑はその社会的地位を高めたことを実証した。その上、ニュージーランド華僑とオーストラリア華僑の関連のみならず、イギリスなど世界各地の華僑についてまだ解明が不十分な部分もある。史料も一定程度入手したので、さらに研究を進めたい。 3,オーストラリア華僑とニュージーランド華僑の関連、共通性と差異については、オーストラリア側から考察を終え、今回は不明点が多くあったニュージーランド華僑側からアプローチした。その結果、軍を除けば、双方の華僑の職業は類似性があるのみならず、両政府の白人優位の華僑政策は相互に影響を及ぼしており、特にオーストラリアからニュージーランドに影響があった。というよりニュージーランド政府はオーストラリアの華僑政策を参考にしていた。 4,すでに拙著『戦争と華僑』(2011年)により日本、朝鮮、台湾、南洋華僑動態を解明したが、前回科研費(平成22年~25年)でアメリカ、ハワイ、カナダ各華僑などについて各論文を公表した。今回それに推敲を加え、分析、新史料で補強し、結論を導き出し、拙著『戦争と華僑続編』(2018年5月)汲古書院から出版した。
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Strategy for Future Research Activity |
1,今後、ニュージーランド華僑の史料調査収集などにより研究を本格化させ、著書の1本の柱になるように完成度をさらに高める予定である。ニュージーランド華僑研究は本格的研究は管見の限り皆無に近いので、シンガポールなどで私が入手した戦争当時新聞で華僑に若干触れられており、まずその読み込みを進める。 2,第二次世界大戦期を中心にオーストラリア、ニュージーランド各華僑研究をさらに深めるため、今回はイギリスで関係史料の調査収集をおこなう。ロンドン、エディンバラ、グラスゴーなどでの各大学、研究機関、国公立図書館などで、華僑や中国人留学生の位置、特色、中国抗日戦争支援の実態に関する史料を調査収集する。また、華僑博物館、軍事博物館、華僑街で現地調査をおこなう。海外旅費はこれに充てる。また、スムーズに研究を進めるため、協力者・通訳を必要としており、謝金はこれに充てる。 3,関連史料は自費や学内研究費で台湾に行った時、国史舘などで少ないが調査収集しており、これら史料も再度読み込むと同時に、今回、ニュージーランドなどで調査収集した史料で再度読み込み、研究を進展させる。オーストラリア、ニュージーランド各華僑 とイギリス、北米との関係も果たしてどうなっているのか。 4,補強史料は東洋文庫、国会図書館、東京大学東文研などで調査収集する。国内旅費、史料コピー、焼付費などはこれに使用する。また、華僑・戦時関係の日本語・中文・欧文各図書・史料集などを購入し、実証、理論化を図る。 5,夏期休暇、冬期休暇を利用してオセアニア華僑研究を深めると同時に、関連の深いイギリス華僑を含め、近い将来、「第二次世界大戦期におけるオセアニア・英国華僑動態」を実証的に解明し、構造分析、理論化し、近い将来、『戦時期におけるオセアニア・英国各華僑』(仮題)という華僑関係の第3冊目の単著の出版を目指したい。
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Causes of Carryover |
(理由)前年度からの繰越金は「6万6281円」である。前年度中にUSBメモリーや文具類、もしくは華僑関連図書の購入も考えたが、本年度が最終年度であるため、オセアニア華僑とイギリスの関係などに研究を深め、総括する際、イギリスに行き、史料収集や現地調査の必要がある(当初、オセアニア、ブラジル両華僑、日系移民の関係を考え、ブラジルに行く予定であったが、リオデジャネイロとサンパウロの治安悪化により断念)。このため、出費が多いことが予測された。したがって、より有意義に使用するため、あえて繰越金として残した。 (使用計画)当然のことながら本年度実施するイギリス、あるいは日本での史料調査収集の際の旅費等の一部として、あるいは各資料館、図書館での史料費等の一部として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)