2018 Fiscal Year Research-status Report
Role of the Ethnographic Research in Cultural Integration of the Russian Empire during the 19th century
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17K03166
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
下里 俊行 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80262393)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東欧 / スラブ / ハンガリー / 発展段階 / 文化圏 / 生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1に、東ヨーロッパの民族学誌研究の具体的状況をスロヴァキアおよびハンガリーの博物館等で調査した。その結果、東欧におけるスラブ系諸民族の共通性と差異、およびスラブ系諸民族と非スラブ系諸民族との共通性と差異が、どのように構築されていったのかについて有益な示唆を得た。具体的には、西スラブ系諸民族における民族誌学的研究が、ゲルマン系諸民族との相克のなかで先導的に進展していった一方で、ハンガリーにおいてはアジア系諸民族との関係性を強調することによって独自のアイデンティティーを構築しようとする姿勢が生まれており、民族誌学研究といっても、ロシア帝国におけるゲルマン系およびアジア系に対する両面価値的な姿勢とは異なる特徴があるのではないかという示唆が得られた。 第2に、ロシア帝国における民族誌学のフィールドワークの方法論と調査の歴史について文献史料にもとづいて論点を整理した。その結果として、ロシア帝国での民族誌学研究が、実証主義的なフィールドワークのための調査項目を設定する段階で、特定の哲学的・形而上学的な世界観を前提にしていた可能性があるのではないかという示唆が得られた。具体的には、人類集団を特定の価値基準で分類しようとする場合に、19世紀前半までは、時間軸を基準に「発展段階」という価値基準が重視されてきたのに対して、19世紀後半以降は、空間軸を基準に「文化圏」という価値基準がしだいに重視されるようになっていく傾向が見られ、そこに生物学的な本質主義的分類の土壌が生まれていくのではないかという仮説が得られた。文化主義的方向性と生物主義的方向性との相克が、ロシア帝国での民族誌学研究の動向にどのような影響を与えたのかについて今後検討する必要があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、ロシアの図書館、文書館でロシア帝国における民族誌学研究の資料収集を予定していたが、日程上の都合でおこなうことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ロシア帝国における民族誌学のフィールドワークの方法論と調査の歴史について文献史料にもとづく分析を進める。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外出張が日程の都合により実施できなかったため未使用額が生じたため。次年度においては、予定していた海外出張の日程を延長するなどして前年度の未使用分を執行する予定である。
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Research Products
(3 results)