2020 Fiscal Year Research-status Report
植民地朝鮮における考古学的調査研究資料を公開・共有・活用するための基礎研究
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17K03206
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉井 秀夫 京都大学, 文学研究科, 教授 (90252410)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 考古学 / アジア考古学 / 朝鮮考古学 / 植民地 / 考古学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の3つの課題について研究を進めた。具体的な研究の進行状況は以下の通りである。 第1の課題は、今西龍旧蔵考古資料の整理である。本年度は瓦セン類、中でも高句麗瓦と楽浪センについて、学生を雇用しての整理検討を予定したが、コロナ禍のために教室利用が制限されたため、個人的にできる範囲に限定して作業を進めた。また本年度は、予定していた大韓民国での調査も実行することができなかった。 第2の課題は、植民地時代に作成された地形図を通した、朝鮮古蹟調査事業の検討である。本年度は、これまでの研究成果をもとに、1918年に濱田耕作・梅原末治が朝鮮各地で発掘調査・踏査する際に携行した地形図の検討成果を論文として発表した。また研究会などで2回にわたり、これまでの研究成果の一端を口頭発表した。本来であれば国立国会図書館所蔵地図の検討を進める予定であったが、コロナ禍のために今年度は断念せざるをえなかった。 第3の課題である、大韓民国の関係機関との対話は、コロナ禍のために具体的に進めることができなかった。その代わりに、オンラインを利用した研究成果の発信をおこなった。まず、これまでの大韓民国・中央博物館との共同研究成果をもとに、『鳥居龍蔵の学問と世界』の中で、朝鮮半島の調査にかかわる部分の執筆を分担した。次に、京都大学人社未来系発信ユニットが主催するオンライン講義「立ち止まって考える」シーズン2において、2021年2月27日・3月6日に、「スペインかぜと濱田耕作・梅原末治の朝鮮古蹟調査」(『文化遺産からみた人類と災禍』)を分担し、多くの視聴を得た。さらに2021年3月20日に、シンポジウム「慶州・金冠塚が語りかけるもの」をオンライン式で開催し、日本だけではなく、大韓民国・アメリカ合衆国からも参加者をえて、講義および質疑応答をおこない、議論を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍に伴う2度の非常事態宣言、および大学および研究機関の使用が著しく制限されたことにより、予定していた研究の多くを断念、あるいは変更せざるをえなかった。具体的には、学内で個人的に進めることができるもの、およびオンライン式でおこなうことができるものについて、最低限の研究を進めるしかなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が収束する見通しが全くたたない現状においては、本来の計画をさらに少なからず変更せざるをえないと考えている。これまでの研究成果を整理・報告することに集中し、将来再開されることが期待される日本・大韓民国間の対話に備えることとしたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、大韓民国への出張をはじめとする当初計画の多くを断念、もしくは変更せざるをえなかったため。2021年度においては、これまでの調査研究成果をまとめると共に、それをオンラインを活用して発信・共有する予定である。
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Research Products
(6 results)