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2017 Fiscal Year Research-status Report

農の「EU化」に伴うトランシルヴァニア牧畜の再編に関する文化人類学的研究

Research Project

Project/Area Number 17K03311
Research InstitutionNational Museum of Ethnology

Principal Investigator

杉本 敦  国立民族学博物館, 超域フィールド科学研究部, 外来研究員 (70712256)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords文化人類学 / ルーマニア / 牧畜 / EU
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、「環境保全・動物福祉・食の安全」に関するEUの畜産基準の導入に対し、ルーマニア・トランシルヴァニアの牧畜民がどのような実践を行って生活を維持し、それをいかに語るのかを、文化人類学的なフィールドワークによって明らかにすることにある。
初年度にあたる平成29年度は、EUおよびルーマニアの農業政策の概要と、当該地域における実施状況を把握することを目標とした。まず、文献資料と統計資料、公式Webページの情報をもとに、特にルーマニア国内で行われている農業補助金関係の政策について明らかにした。現在のEUでは、共通農業政策(CAP)予算の減少と共に、「再国家化」・「地域主義」の傾向が強まっており、ルーマニア国内の農業政策にアレンジの余地が生まれていることが明らかになった。特に、補助金の支払い方法、支払い総額の推移、支払い対象者の規定について検討する中で、EUの有機畜産規定を満たしていない場合でも、家畜の大規模飼養者に対しては農業補助金が交付されている状況を把握した。
その後、これらの情報をもとに当該地域でのフィールドワークを開始した。集約的な調査の対象として設定した知己の農家15軒を回り、農業経営の現状と変容、農業補助金の受領状況について聞き取り調査と直接観察を行った。そこから政府による農業補助金支払いの規定と実際とに相違が存在すること、具体的には補助金受領者(申請者)・家畜所有者・土地所有者・土地利用者の間にインフォーマルな貸借関係が新たに生じつつあるという知見を得た。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

EUおよびルーマニアの農業政策の概要について把握した上で、当該地域でのフィールドワークを開始した。当初の計画通り、集約的な調査の対象となる農家15軒を回り、今次の調査計画の趣旨と成果の公開方法について説明し、同意を得た。彼らの農業経営の現状と農業補助金との関わりについての状況をあらかた把握し、次年度以降の本格的なフィールドワークにおける調査項目を再検討するための情報を得た。ただし、補助金申請に関わる家畜と牧草地のインフォーマルな貸借関係・擬似貸借関係という想定外の状況についての知見を得、調査計画の一部修正が必要となった。

Strategy for Future Research Activity

初年度の成果を踏まえ、次年度以降は本格的なフィールドワークに着手する。まず、想定外の事象も含めた当該地域の現状を踏まえ、調査項目の一部修正を行う。夏季と冬季に予定している2度のフィールドワークでは、15軒の農家を中心に、牧畜の生産様式、労働関係、機械化の状況、家畜の衛生環境、畜産物生産の過程、畜産物の消費・流通の状況、擬似的なものも含めた農地・家畜の貸借状況、補助金の申請・受領状況について、聞き取りと直接観察を行う。最終年度のデータ整理と成果報告の基となるデータを収集し、調査の主要部分を終える。

Causes of Carryover

その他の研究活動および教育活動のため、当初予定していた2回のフィールドワークが一度しか行えなかったため。次年度使用額は、次年度のフィールドワークのための旅費として使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] トランシルヴァニア山村における谷川とコミュニティの形成2018

    • Author(s)
      杉本敦
    • Organizer
      地域研究コンソーシアム2017年度次世代ワークショップ「内陸の水-人関係再考」

URL: 

Published: 2018-12-17  

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