2017 Fiscal Year Research-status Report
匿名加工情報・非識別加工情報制度とオープンデータ政策
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17K03346
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇賀 克也 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (90114397)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 匿名加工情報 / 非識別加工情報 / オープンデータ / 匿名加工医療情報 / 次世代医療基盤法 / 医療ビッグデータ / 個人情報保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、我が国の匿名加工情報、非識別加工情報制度の特色を探るため、海外の匿名加工情報制度、とりわけ、EUのGeneral Data Protection Regulation(GDPR)と比較するための研究を行った。また、同年度において、「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(次世代医療基盤法)が成立したため、同法についても研究を行い、論文の執筆を開始している。さらに、2007年に全部改正され、匿名データ、オーダーメード集計の制度を新設し、オープンデータ政策においてフロントランナーの立場にあった統計法が、行政機関非識別加工情報制度の導入の結果、むしろ、一般の保有個人情報よりも、オープンデータ政策という面では、後塵を拝することになり、そのため、2018年3月に統計法の一部を改正する法律案が閣議決定され、国会に提出された。そこで、この統計法改正案についても、オープンデータ政策の観点から研究を行い、論文執筆にとりかかった。いずれの論文も、2018年度において、公表を予定している。また、行政機関非識別加工情報制度の導入に伴い、地方公共団体において、個人情報保護条例を改正して、非識別加工情報制度を導入する検討が開始されており、201年度末までに、鳥取県、和歌山県のほか、市区町村では3団体が、すでに個人情報保護条例を改正して、非識別加工情報制度を導入している。そこで、これらの個人情報保護条例についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この期間中には、匿名加工情報制度を導入した個人情報保護法改正、非識別加工情報制度を導入した行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法改正について、若干の論文を執筆し、また、著書の公刊を行うことができ、逐条解説の改訂作業も進めている。また、「研究実績の概要」に記した通り、次世代医療基盤法、統計法改正案についての論文の執筆にも取り掛かることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度においては、次世代医療基盤法についての研究をさらに研究を進め、論文を完成させるとともに、逐条解説を執筆したいと考えている。また、統計法改正に関する論文も完成させたい。個人情報保護条例改正による非識別加工情報制度の導入については、検討中の地方公共団体は少なくないものの、条例改正によりこの制度を導入した地方公共団体はない少数である。他方、匿名加工情報制度については、すでにかなりの利用実績がある。そこで、匿名加工情報制度の利用実態の検討、非識別加工情報制度のユースケースの検討も行っていきたい。
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Causes of Carryover |
本年度使用する予定であった図書購入費が、予定よりも若干低い金額に抑えることができた。余剰が生じた金額については、次年度交付予定金額と併せて図書購入に充てる予定である。
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Research Products
(7 results)