2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03350
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
山田 洋 一橋大学, 大学院法学研究科, 特任教授 (20158215)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 気候変動 / 土地利用計画 / 都市計画 / エネルギー計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動に適合する土地利用計画の探求という本研究の課題については、わが国においては、ほとんど先行研究が存在しないこともあり、平成29年度は、まず、この分野の研究において、それなりの蓄積を有するドイツにおける制度と理論、とりわけ、土地利用計画に関する最新の動向を把握することに努めた。さしあたり、年度の当初は、国内での文献調査などを実施し、ドイツの計画法等に関するかなりの文献資料を収集した。さらに、関連する学会や研究会に研究代表者が参加し、本研究に関連する実務の動向などを含むさまざまな知見に触れるとともに、その機会に、国内の研究協力者などと今後の研究の方向性などについて、意見交換と情報共有を積み重ねてきた。 これらを踏まえて、12月と1月には、東京都内において、研究協力者をはじめとする関連分野を専門とする研究者の参加を求めて、「ドイツ計画法研究会」と名付けた研究集会を開催した。第1回目においては、この分野の研究における第一人者といえる研究協力者から最新の動向に関する報告を受け、第2回目においては、研究代表者がドイツの計画法の動向について報告したほか、研究協力者の一人がわが国の計画法について、さらには、台湾から招聘した研究者が台湾の計画制度について報告した。 また、3月には、研究代表者がドイツを訪問して、コンスタンツ大学とベルリン・フンボルト大学の図書館において、ドイツの気候変動適応計画や土地利用計画一般について、文献資料を収集した。さらに、この機会に、平成30年度に招聘を予定している研究協力者に面会して、研究の打ち合わせと情報交換を実施している。 そのほか、研究成果の公表としては、研究代表者が、ドイツにおける気候変動や水銀汚染を軽減するための脱石炭火力発電の動きについて、論文を発表している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に関するドイツにおける制度や研究の現状分析については、ドイツにおける文献調査や研究者との意見交換、さらにはわが国の研究者間の情報共有などを通じて、ほぼ順調に成果を挙げてきたと考えている。とりわけ、研究協力者間の問題意識や知識の共有については、複数回の研究会の開催などを通して、かなりの進展を見ている。平成30年度におけるドイツからの研究協力者の招聘についても、ほぼ計画が固まるなど、今後の研究の方向性と具体的な予定も見通しがついてきており、着実に研究は進捗していると評価している。また、研究成果の公表の面でも、すでに、研究代表者自身が端緒となる論文を発表するに至っており、この面でも、この時期なりの実績は挙がりつつある。 これに対して、わが国における気候変動への適応計画の現状分析については、やや手薄となっている感もあるが、これは、わが国における制度の進展に大きな動きが見られないことの反映でもあり、関係者との意見交換などにより、それに関する情報収集には努めてきた。今後の動向に着目しつつ、それに応じて分析を進めていくこととなる。もちろん、ドイツについても、気候変動への対応に特化した計画制度のあり方という面では、なお把握できていない動向が多く存在し、これらの分析も今後の課題といえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においても、わが国やドイツにおける制度や理論を分析する前提としての文献資料の収集は、継続して実施することになる。このため、研究代表者が、再度、ドイツを訪問して、最新の文献資料の検索と収集を実施する予定である。また、研究協力者などの研究者による研究会についても、継続して複数回にわたり開催する。とりわけ、平成30年度においては、研究者による研究報告のみならず、行政機関などに所属する実務家を招いて、わが国の現状などについての報告を求めることを予定している。さらに、年度末においては、環境法研究の専門家である研究協力者の一人をドイツから招聘することが確定しており、その報告を中心とする研究会も複数回にわたり開催する。 一方、研究成果の公表については、ドイツにおける気候変動対応のエネルギー政策と土地利用の関係についての論文の発表を準備中であるが、これを含めて、本研究の課題と関わる複数の論文を公表したいと考えている。
|
Remarks |
「ドイツ計画法研究会」の開催(2017年12月及び2018年2月)
|