2020 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental research for Constitutional Interpretation as a Synthesis of Pluralistic and Multi-Layered Interpretations
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17K03352
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大河内 美紀 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (20345838)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 憲法解釈 / 違憲審査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度までに、アメリカ合衆国における憲法解釈の多元性・多層性を文献調査などを通じて明らかにし、日本におけるその適用可能性について検討を行った(大河内美紀「Our "Setteled" Constitution」論究ジュリスト28号(2019年11月)pp.129-147)など)。2020年度は、さらに、研究課題についての検討を進めるとともに、研究成果の一部として、「アントニン・スカリア-The Originalist」山本龍彦・大林啓吾編『アメリカ憲法の群像―裁判官編』(尚学社)所収(2020年6月)pp.296-321)を公表した。また、日米における憲法解釈主体の多元性を踏まえつつ、実際の違憲審査の場面に焦点を当てた論文をまとめた(大河内美紀「比較の中の日本の違憲審査ーアメリカから見た日本」憲法研究7号(2020年11月)pp.109-120)。 研究期間全体を通じて実施した研究の結果、憲法解釈という営為は、司法のみが独占するものではなく、他の政府機関や訴訟を支援する諸団体、世論など、さまざまなレベルにおいてなされ、相互に関連を持ちつつ、複合的に形成されるものであることを論証した。この成果は、社会で現実に機能している「憲法解釈」の実相を明らかにする上で、有力な視点を提供するものと考える。しかし、その形成の有り様は、諸アクターの権限や社会的位置付け、実態によって左右されるため、日米の差が顕著に見られることもまた、明らかとなった。個別の憲法解釈の形成の有り様の分析は、他日を期したい。
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Research Products
(3 results)