2017 Fiscal Year Research-status Report
持続型・縮退型社会における都市行政の費用負担のあり方に関する研究
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17K03361
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田尾 亮介 首都大学東京, 社会科学研究科, 准教授 (50581013)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 都市再生特別措置法 / BID / 地域再生法 / 地域来訪者等利便増進活動 / 受益者負担 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本研究課題の初年度にあたるところ、公表された研究業績としては、研究発表欄記載の雑誌論文7件がある。 現在取り組んでいる課題は、年来の研究テーマである、アメリカ・イギリス・ドイツのビジネス改善地区(Business Improvement Districts: BID)と日本のエリアマネジメントの比較研究である。北米由来の制度をドイツに移植する際にどのような議論が行われたかについて興味があることから、ドイツ各州の立法時の鑑定意見書や都市建設法のコンメンタールに目を通し要点をまとめる作業を行った。また、ハンブルク州上級行政裁判所(特に2010年判決)やヨーロッパ司法裁判所において関連する裁判例も出ていることから、それらの事案の正確な理解に努めているところである。日本においても、大阪市エリアマネジメント活動促進条例が施行され、現在、国会(第196回国会)で審議されている「地域再生法の一部を改正する法律」により、いわゆる「地域再生エリアマネジメント負担金」が導入されつつある状況にある。これらの立法例により、アメリカ・ドイツと比較した場合に、日本において今後どのような議論が必要となるかを明らかにすることができると考えている。今秋には、受益者負担やBIDをテーマの一つにした学会報告を予定している。 現在は、極めて時局的なテーマを取り扱っているため、研究に一定程度進捗が見られた段階で速やかに研究会における報告または雑誌論文への投稿の機会を持ちたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に発表した研究成果は本研究課題と密接な関連を有するものからそうとはいえないものまで種々のものを含んでいるが、いずれも本研究課題にとっては新たな気づきを与えるものであり、研究成果のとりまとめに向けてより理解が深まったといえる。次年度以降の研究発表に向けた準備も進んでおり、これらの状況を勘案すると、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はドイツ法の文献の渉猟と読解に多くの時間を費やしたため、アメリカ法やイギリス法の研究が疎かになっているのが反省点である。また、日本法における(決して多いとはいえない)論稿にもいま一度目を通したいと考えている。次年度は、最終年度に向けて、時間に多少余裕があることから、公法学という垣根を越えた分野横断的視野をもって研究に臨む予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は当初外国出張を予定していたが、いくつかの理由で断念することとなり、そのために未使用額が生じた。次年度は改めて外国出張の機会と時間を確保することに努め、その費用に未使用額を充てることとする。それでも生じる残余額は和書・洋書の購入費に充てる予定である。
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