2018 Fiscal Year Research-status Report
地方議会改革及び地方選挙改革を通じた地方自治法制整備に関する比較実証研究
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17K03363
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
大橋 洋一 学習院大学, 法務研究科, 教授 (10192519)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地方議会選挙法制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地方議会が現代の分権型社会において果たすべき諸機能を指摘した上で、地方議会の機能を活性化するための法制度改革について、選挙制度まで含めて探究するものである。本研究は、議員の担い手を広範に確保する手法や、地方議会が積極的に活動するための基盤的制度設計を提示することを最終目的とする。本研究は、手法として、日本法に関する実証研究と、ドイツ法との比較研究を組み合わせることを意図している。その前提として、現時点において地方公共団体が抱える問題分析を進める必要があるほか、地方分権改革がどこまで進展してきたのかという点に関して、現時点における総括を行う必要がある。 2018年度はドイツ法の研究を深化する目的で、コンスタンツ大学法学部のハンス・クリスティアン・レール教授とドイツの地方自治法の現代的課題をめぐり、広範な領域を対象に意見交換の機会を得た。このほか、ハイデルベルク大学のヴォルフガング・カール教授やエーベルハルト・シュミットアスマン教授、オスナブリュック大学のトーマス・グロース教授と市民参加法制や地方組織に関して意見交換を実施したほか、ミュンヘン大学のアンーカトリンーカウフホルト教授とは行政施策の受容、同意形成に関して具体的に意見交換を行った。このほか、フライブルク大学のイェンス・ペーター・シュナイダー教授とは行政裁量の現代的課題について、ギーセン大学のベッティーナ・ショーンドルフ・ハウボルト教授とは、行政の国際化の影響をはじめとして議論の機会を得た。研究成果は研究書として公刊したほか、行政法の基本書を本年度は1冊公刊することができ、こうした著作において、本研究の成果が随所に活かされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の概要で既に示したとおり、これまで地方公共団体における自治の進展に関して、審議会への参加、講演会の実施、地方公共団体職員との面談など、多面にわたり実証的に分析を進めることができた。従前の研究を含む研究成果は、2019年3月に研究書として計画通りに公刊することができた。加えて、ドイツの地方自治制度をめぐる現代的課題について、2018年度には多数の教授との面談を通じて、多面的に分析の機会をもつことができた。こうした基礎研究を基礎に、地方議会改革に関しては、自らが参画した研究会の成果を総括すると共に、新たに比較法的な観点から従前の議論を分析するための基礎を形成することができた。海外分析の部分について、補完の意味も込めて、2019年9月にはドイツ・コンスタンツ大学のハンス・クリスティアン・レール教授と既に連絡を取り、ゲストハウスを確保したことから、資料収集や意見公開の機会を確実なものとしている。こうした機会を活用することで、比較法研究の成果を仕上げる段階に達した状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、ドイツ・コンスタンツ大学のハンス・クリスティアン・レール教授の協力を得て、コンスタンツ大学のゲストハウス等を拠点にして、ドイツ法部分の研究を総括する計画である。合わせて、ドイツの自治法制・比較行政法制に詳しい、ハイデルベルク大学のシュミット・アスマン名誉教授を9月にハイデルベルクに訪問するアポイントメントも既に採った次第である。合わせて、補完的に、新刊書や政府公刊資料を中心に、参考文書などの文献収集も行う。 地方議会改革に関して総務省が行った研究会には座長として参画した経験を有することから、上記の比較法研究の成果を基に、上記研究会報告書を改めて検討すると共に、ドイツの自治法、選挙法、市民との協力関係をめぐる法律問題を具体的に分析し、研究課題について比較研究を進めることとしたい。 また、2019年度は内閣府の提案募集部会の委員とし参画することが決定していることから、地方公共団体の課題を吸い上げる新たな提案募集手法と地方議会の関係についても理論的な検討を加えることとしたい。 なお、2019年度は本研究の最終年度であり、とりまとめの段階に該当することから、研究資料の整理やとりまとめに関して、学習院大学法学研究科の院生の協力を得ることで、研究を加速することとしたい。
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Causes of Carryover |
当該年度の補助金利用は計画通りに進めることができ、生じた次年度使用額は210円と、研究補助金額全体からすれば極めて微小な金額に止まり、次年度において購入する書籍、資料、文具等のいずれかの費目で確実かつ有効に利用することができると考えている。
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Research Products
(5 results)