2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17K03364
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
棟居 快行 専修大学, 法務研究科, 教授 (00114679)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プライバシー権 / SNS / 自己イメージコントロール権 / 自己情報コントロール権 / 個人情報 / プライバシー / フェイスブック / ツイッター |
Outline of Annual Research Achievements |
プライバシー概念とプライバシー権の研究にとり重要な現象として、FacebookやTwitterなどの代表的なSNSが、それぞれ独自のプライバシー概念を基礎とする私人・間の個人情報の選択的開示の構造を備え、また日々それを刷新することによって、新しいソーシャルな関係を生み出し続けており、そこに複雑多様な仮想人格を発生させ、その結果いわば「人格のインフレ化」をもたらしていることが挙げられ得る。本研究はこの点につき、どのようなプライバシー概念が生起しつつあるのかを分析することにより、憲法学のプライバシー権のみならず、「個人」や「公共空間」におよぼす概念上のインパクトを考察した。 その際、いわば、個人の言説を商取引の「レバレッジ」のように実像よりも何倍も中身と影響力を伴ったものに転化してゆくという意味で、「個人」という人格から派生する多数の「仮想人格」が金融派生商品(デリバティブ)のように思想の自由市場を跋扈するようになってきている点を具体的に検討した。このようなSNSが引き起こす人格のインフレ化現象に、これまでの憲法学の個人概念や公共空間の概念、さらには表現の自由論は十分には対処しえないことを実証的に調べた。 その結果、今日のSNSの成功不成功は、それぞれがどのようなプライバシー概念を構想しそれを具体化するアーキテクチャーを構築し得たか、に依存しているとの仮説に基づき、Facebookがプライバシー概念を従来以上に受け入れつつ、個人をSNSに自発的に導くためのルールを発展ないし開発しつづけていることのプライバシー論への影響を把握した。SNS時代に適合的なものとして、従来の私見である「自己イメージコントロール権」説を再構築し、SNS時代におけるあるべきプライバシー保護法制を論文にした。
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Research Products
(2 results)