2017 Fiscal Year Research-status Report
地方公共団体の企業的活動に対する公法的規制の理論とあり方
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17K03369
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田村 達久 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (60304242)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地方公営企業 / 持続的な役務提供体制 / 地方公共団体の経済活動に関する法原則 / 地方公共団体の企業の法的形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本国内での地方公営企業の活動に関する実態調査のための各種の情報収集と検討を行った。特に、鉄道事業・自動車運送事業、つまり、交通系の地方公営企業の関係労働組合等の資料等を入手、検討することを通じて、及び、学外で実施された関係の研究会において参加して、そこで行われた現場からの事例報告を聴取することを通じて、持続的な役務提供体制の維持・構築に問題を抱えていることや、それに従事する人の待遇のあり方といった労働法的側面の課題が生じていることなど種々の現在的問題・課題を把握した。 地方公共団体の企業的活動に係る外国法制及び研究動向の各調査に関しては、とりわけ、ドイツ連邦共和国におけるそれに焦点を当てて、関係外国語文献に基づいてその調査等を実施した。当該国においては、地方公共団体の経済的活動に関する3つないし4つの法的原則が各州のいわゆる地方自治法に法定されるなどしていること、また、当該活動のための企業形態には多様なものが認められており、それぞれ活用されていることが確認された。少し詳しくいえば、法人格を有するもの、有しないもの、さらに、公法的企業形態をとるもの、私法的企業形態をとるものがあり、例えば、公法的企業形態にも6類型が存することなどが明確となった。法律学的側面からするこのような調査等に基づく日本語文献における紹介等はほとんど見受けられないため、かかる基礎調査に基づく情報・紹介であっても日本国内においては重要であると考える。そこで、この点の研究ノート程度のものは公表することも計画する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本国内での地方公営企業の活動に関する実態調査を実施する予定であったが、適切な実態調査先の選定が円滑に進まなかったため、日本国内事例の調査作業及びこれを基礎とした国内法的問題・検討課題の事例からの抽出等に遅れが生じてしまった。また、外国法制調査のための関係外国語文献収集も必ずしも十分には行いえておらず、この点での若干の遅れが生じてはいる。
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Strategy for Future Research Activity |
日本国内での地方公営企業の活動に関する実態調査を早期に実施すること、及び、とりわけドイツ連邦共和国を対象国とする海外実態調査のためのさらなる準備作業を進め、本格的な実態調査を行うための事前の実態調査を実施することを計画する。 そのため、これに並行して、引き続き、関係外国語文献の収集及びその検討を行い、当該国における現行法制度の状況及びそこにみられる法的課題の調査を行うとともに、当該課題に対処するための当該国での理論的研究及び実際的解決方策に関する動向等について検討等を行う。
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Causes of Carryover |
日本国内での地方公営企業の活動に関する実態調査を実施しえなかったこと、及び、外国法制調査のための関係外国語文献収集に十分ではなかったことを理由とする次年度使用が生じている。そこで、日本国内での実態調査のための旅費等として、及び関係外国語文献の収集等のための経費として、使用する計画である。
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