2018 Fiscal Year Research-status Report
GPSテクノロジーを使用した犯罪者監視システムの我が国への導入可能性の検証
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17K03435
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
甘利 航司 國學院大學, 法学部, 教授 (00456295)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 刑事政策 / 刑法 / 監視 / 社会復帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研費は、犯罪をした対象者(offender)に対して、GPS型電子監視を科すことができるかということを中心に議論している(なお、場合によっては、当然未決の人への付加も問題となる)。 RF型であるが、これは1960年代半ばに登場し、1980年代から登場している。このRF型については、再犯防止効果がなく、ネット=ワイドニングになっていることは、より詳細に解明している。特に2005年に出た、レンゼマらの分析が決定的であり、議論としては論ずることは大幅に解決した。また、その後、マッケンジーが、再犯防止効果がない旨の研究成果を発表している。GPS型電子監視であるが、1997年にアメリカで実施されて後、2000年代中ごろまでには、アメリカのほとんどの州で実施されるようになっている。このあたりの政治的な事情については詳細に分析できた。そして、機器の構造の詳細な検討もできた。 また、時代的に、その後、ドイツ・フランスといった欧州諸国のみならず、韓国といったアジア諸国まで広がっていくが、このあたりの背景についても分析することができた。そして、そういったGPS型監視の性犯罪の防止効果については、統計的な解析をして、結論として、ほぼ存在しないという結論にたどり着くことができた。 なお、そういった議論とは別に、本研究の遂行過程で、こういった議論を提示してきた、シュビッツゲーベルやホーシェンといった論者についての文献も収集することができ、本来、どういう目的であったのかという、より根源的な分析をすることができている。これは、欧米の議論でもほとんど登場しないものなので、非常に高いオリジナリティを誇るものとなっていると自負できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献についてはほぼ完全に網羅することができており、諸外国の実施状況を理解することができている。GPS型電子監視の再犯防止効果については、詳細な韓国の統計的解析に関する文献を入手することができ、この研究の大きな障壁を取り除けている。更に、アメリカのGPS型電子監視の統計的なデータは、解析を含めて非常にうまくいっていると感じている。特に、パジェットらの非常に著名な再犯防止効果のデータは、その対象グループの欠如があり、統計的に問題であることがわかり、申請者としては、山場を乗り越えたと感じている。ただし、パジェットと並ぶ、非常に有力な議論である、ギーズらの議論の解析は、なかなか難しく、その分遅れてしまっていると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研費による研究は、2019年度は最終年度となる。すでに2018年12月には犯罪心理学会のシンポジウムで報告をしており、そして2019年5月には刑法学会で個別報告を行っている。結論となる議論は、すでにその二つで提示できており、あとは、歴史的な分析をすることと、諸外国の規定の分析をすること、そして統計的なデータを完成させることである。その意味で残された部分を埋め合わせる作業は、勿論、体力的には大変である。しかし、いわば幹の部分は完成しており、細かい周辺的な部分を埋めていくこととなるため、精神的な負担はあまりないと感じている。ただし、アメリカの研究者であるイレズらの示す、DV・ストーカー事案と呼ばれる領域については、本年度の研究期間終了中にはおわらず、これは今後の課題となると考えている。
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Causes of Carryover |
書籍等の文献についても、旅費についても、学内業務が忙しくなっている関係で、かならずしも十分に使えていない。
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Research Products
(2 results)