2017 Fiscal Year Research-status Report
少年司法における調査・鑑別と処遇との連携状況についての分析
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17K03436
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
渡邊 一弘 専修大学, 法学部, 教授 (90449108)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 少年鑑別所法 / 少年院法 / 少年法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、平成 24 年の「再犯防止に向けた総合対策」等の展開により、少年司法においても、明確に、実証的な犯罪学研究の成果をふまえた対策が求められるようになっており、少年法学においても、研究方法論として、実証的・機能的研究方法の活用の在り方の模索が求められていることをふまえ、少年司法における「法務省式ケースアセスメントツール」を基軸とした鑑別・調査と処遇との総合的・ 体系的連携を模索するため、同ツールの機能検証と再鑑別の場面における処遇と鑑別の連携についての現状分析に取り組むことを研究内容としている。 平成 29 年度には、非行少年の矯正処遇に取り組む前提となる「個々の少年の特性」分析を行うために、再非行等に密接に関連する調査項目を少年鑑別所の心理技官が面接や鑑別資料に基づいて評定することにより、少年の再非行の可能性と教育上の必要性を定量的に把握するために、我が国独自のアセスメントツールとして開発された「法務省式ケースアセスメントツール」の内容の適正性および機能について、犯罪学分野における非行少年特性研究の成果をふまえての検証作業に取り組んだ。 具体的な研究方法としては、これまでの犯罪学分野における少年非行および少年再非行研究において取り組まれてきた少年特性把握研究である、非行予測研究、リスクアセスメント研究についての国内外の研究の展開を時系列的および方法論的観点から再整理を行うほか、近時関心が広まっている展望的視点からの評価項目も含む再犯(再非行)研究の成果についての現状分析にも取り組み、非行少年の特性把握についての評価研究の現水準に照らして、「法務省式ケースアセスメントツール」の内容の検証に取り組んだ。 また、「法務省式ケースアセスメントツール」の内容および運用状況の理解をに取り組むために、鑑別技官や法務教官へのインタビュー調査も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、の平成29年度には、また、「法務省式ケースアセスメントツール」の内容および運用状況の理解をに取り組むために、鑑別技官や法務教官へのインタビュー調査を実施した。 この聞き取り調査については、一応、当初ある程度の成果を達成できたと思われる。しかし、もう少し調査対象者数を増やすべきとも思われ、この点については、今後も可能な限り、追加実施をしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30 年度の研究計画としては、まず、平成29 年度から引き続き、「法務省式ケースアセスメントツール」の内容理解に取り組むべく、同ツールの開発に携わった技官等へのインタビュー調査の実施を継続していく予定である。 さらに、平成30 年からは、「法務省式ケースアセスメントツール」を基軸として、鑑別・調査と処遇との連続的・体系的運用の実施状況を分析するため、少年院法36 条による個人的矯正教育計画の見直しのために少年院在院者を少年鑑別所に収容して鑑別を行う「再鑑別」の運用についての分析に取り組む予定である。 少年院法36 条により個人別矯正教育計画の見直しのための少年院在院者の少年鑑別所での再鑑別については、少年院での矯正教育の内容の在り方について、少年鑑別所での鑑別業務の成果を反映させて方針を定めていくものであり、鑑別・調査の内容と処遇との直接的連携を見出すことが出来る場面である。本研究の関心は、この再鑑別の場面において、「法務省式ケースアセスメントツール」が鑑別・調査と処遇とを連携させるうえでの基盤としての役割を果たしているのか否かの検証にある。 こうした関心から、平成30 年度には、少年鑑別所側における再鑑別の実施状況についてのインタビュー調査および少年院側における再鑑別の結果をふまえた個人別処遇計画の見直し状況についてのインタビュー調査の実施に取り組むことを予定している。 具体的な実施方法としては、調査が実施可能な少年鑑別所と少年院を選定したうえでインタビュー形式での調査を行うほか、申請者が講師を行っている法務省矯正研修所東京支所の講義履修者である法務教官・少年鑑別所技官に対し、聞き取り調査およびインタビュー調査への協力依頼を行い、調査協力を得られる施設の選定を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
申請時に作成した予算計画においては、平成29年度にパソコンを購入する予定であったが、現在使用しているノートパソコンが使用に耐えられる状態であったので、無理に新規のパソコンを購入する必要が生じず、本年度の購入は見送った。これにより、当初の予算計画よりも支出額が少額に止まった。 しかし、このパソコンも起動が不安定になってきており、平成30年度には、当初の計画の通り、パソコンを購入する必要性が生じるものと思われる。
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Research Products
(1 results)