2019 Fiscal Year Research-status Report
少年司法における調査・鑑別と処遇との連携状況についての分析
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17K03436
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
渡邊 一弘 専修大学, 法学部, 教授 (90449108)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 少年院法 / 少年鑑別所法 / 鑑別 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の研究の主たる取り組みは、平成30年度までに取り組んだ研究を継続し、少年鑑別所法のもとでの鑑別と調査の在り方、とりわけ「法務省式ケースアセスメントツール」を基軸とした鑑別の現状確認と、少年鑑別所法および少年院法のもとでの処遇の実情の確認に取り組んだ。 本年度特に力を入れて取り組んだ研究は、「法務省式ケースアセスメントツール」を基軸とした鑑別・調査と処遇との連続的・体系的運用の実際を理解するため、少年鑑別所におけるアセスメント全般についての研究、とりわけ「法務省式ケースアセスメントツール」と他のアセスメントツールとの関係の理解について、文献研究に加え、矯正職員に対する少年院および少年鑑別所における処遇と鑑別の取り組みについての聞き取り調査を実施した。 本年度は視察した少年院や少年鑑別所による直接的な聞き取り調査のみならず、学会主催の鑑別に関する研修に参加し、矯正以外の少年司法全般における調査の実際についての理解を深めることが出来たほか、研究会を開催し、鑑別技官や少年院勤務の精神科医から少年司法におけるアセスメントの実際を丁寧に聞く機会を設けることが出来、少年司法におけるアセスメントのより詳細な理解をえることが出来たと思われる。 以上、本年度に取り組んだ視察やインタビューを通じて行った鑑別技官、法務教官、精神科医などへの聞き取り調査を通じ、少年院法少年鑑別所法のもとでの鑑別と調査の実態の理解に近づけたものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題研究の進展状況としては、昨年度から継続して取り組んできた鑑別や調査、リスクアセスメントに関する文献研究の成果として、現行法下の鑑別および鑑別調査と処遇の連続性についての理解は深まってきている。 また、矯正職員や精神科医、心理学研究者に対する調査等の取り組みにより、「法務省式ケースアセスメントツール」など現在の少年司法制度において多用されているアセスメントツールの特徴の確認を深められている。 しかし、令和元年8月に、矯正研修所内に本課題研究申請段階には想定していなかった効果検証センターが設立されたことを受け、ここでの効果検証作業の取組の分析および効果検証作業自体の外部検証のあり方についても研究を広げる必要性が生じてきたが、この点については得られる情報が少なく、施設でのインタビューなどを通じた情報収集と分析が必要であると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
期間延長後の研究最終年となる令和2年度の研究計画としては、まず更なる研究の必要性が生じている少年調査における効果検証業務の実態の分析に取り組むことを予定している。 そのうえで、本年度は研究課題の取りまとめとして、本研究課題の研究目的である、①「法務省式ケースアセスメントツール」の内容の適正性および機能検証、および②個人別矯正教育計画の見直しのための再鑑別の場面において、「法務省式ケースアセスメントツール」を基軸とした、処遇と鑑別の連続的・体系的運用についての現状分析についての報告書を作成することが目標となる。 本研究のとりまとめにおいては、鑑別・処遇の実際の理解および効果検証業務の運用についての理解にとどまらず、在野研究者の立場から検証作業等についての外部評価の枠組みの構築についても検討課題としたい。
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Causes of Carryover |
本研究課題において実施する予定となっていた少年鑑別所および少年院への調査については、学会や矯正研修所での研修の際に少年矯正職員の方にお話しをうかがえる機会を設けられたほか、自ら研究会を開催し、鑑別技官などから話をうかがうことが出来たために、必要以上に多くの調査出張旅費を支出する必要がなくなった。 また、当初の予定より文献研究を通じたリスクアセスメントおよびケースアセスメントの研究に多くの時間を割いたため、勤務校において取り組む研究時間が多くなり、旅費支出が当初の予定より少なっくなったことと、調査のために新たに多くの文献を収集することよりも、昨年度までに入手した資料を用いて、慎重に心理学・精神医学領域におけるアセスメント研究の理解に取り組んだため、本年度の研究においては、当初の予定よりも新たな資料収集に係る費用は生じなかったため、昨年度までに使用する予定であった額に残金が残ることとなった。
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Research Products
(2 results)