2018 Fiscal Year Research-status Report
必要的共同訴訟人間の牽制関係と判決効に関する比較法的研究
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17K03471
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
鶴田 滋 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (90412569)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 必要的共同訴訟 / 参加的効力 / 共同訴訟的補助参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度においては、主に次の3点について研究を行った。 まず、必要的共同訴訟の手続規律に関する具体的な解釈論を展開するための作業として、「必要的共同訴訟における上訴と脱退」と題する論文を、大阪市立大学法学雑誌64巻1・2号に掲載した。この論文では、民事訴訟法40条1項に基づいて、必要的共同訴訟人間には牽制関係または介入関係があるため、必要的共同訴訟人はそれぞれ対等に、自己の請求についての処分と同等の効果をもたらす確定判決の発生を阻止する権能が与えられる。したがって、必要的共同訴訟人の一部の者による上訴の効果は、他の共同訴訟人全員に及び、他の必要的共同訴訟人全員も上訴人となるべきことが原則であることを明らかにした。 次に、必要的共同訴訟人間に判決効を及ぼすべきかを検討するための前提として、第三者の訴訟参加とりわけ共同訴訟的補助参加の研究を行った。その成果として、「会社組織関係訴訟における株主の原告側への訴訟参加と手続保障」と題する論文を、大阪市立大学法学雑誌64巻4号に掲載した。この論文では、係属中の株主総会決議取消訴訟の原告側に株主が補助参加する場合には、その株主に対して手続権を強く保障する必要はないため、株主は、共同訴訟的補助参加人としてではなく、通常の補助参加人として参加すべきであると主張した。 最後に、本研究課題の中心に位置づけられる研究も行った。その成果として、「必要的共同訴訟人間の参加的効力」と題する論文を、熊本法学145号に掲載した。この論文では、必要的共同訴訟においては、各共同訴訟人が他の共同訴訟人の訴訟の共同訴訟的補助参加人として関与しているのと類似の状況が生じる。このことから、必要的共同訴訟においては、共同訴訟人間には当然の補助参加関係があり、それゆえ、互いに参加的効力が及びうる関係にあることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、必要的共同訴訟の手続規律、および、共同訴訟的補助参加の要件について、研究を行うことができており、さらに、来年度までに行うことを計画していた、必要的共同訴訟人間の参加的効力に関する研究を公表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、必要的共同訴訟人間の参加的効力に関する研究をさらに深めること、および、これまでに行ってきた必要的共同訴訟に関する研究を体系的にまとめることを行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は当初の計画によれば文献収集等のために外国へ出張する予定であったが、本研究課題についての研究を進めた結果、今年度はその必要がないと判断したため。 次年度も、海外出張の必要性が生じれば、そのために助成金を使用するが、そうでない場合には、次年度中に、本研究課題を含めたこれまでの研究を著書にまとめるため(これは当初の計画になかったことである)、このための費用に助成金を用いる予定である。
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