2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K03496
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
福本 葵 帝塚山大学, 法学部, 教授 (40388880)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スポティファイ / Spotify / 直接上場 / Direct Listing |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年4月28日、日本証券経済研究所における証券経済研究会において「Spotifyの行ったDirect Listing」と題する発表、および平成30年8月27日、株式市場研究会において、「Spotify's Direct Listing」と題する研究発表を行った。また、研究会での議論を経て、研究所発行の『証研レポート』1708号(2018年6月)において、「スポティファイの行ったDirect Listing(直接上場)と題する査読論文を発表した。 2018年4月3日、音楽ストリーミング配信サービスのスポティファイがNYSEに上場した。スポティファイの上場は伝統的なIPOとは異なっていた。これは新たな株式の発行を伴わず、証券会社による売り出しも行わない方法であり、一般的にDirect Listing(直接上場)と呼ばれている。 本研究では、スポティファイはどのような会社か、スポティファイの行ったDirect Listingとは如何なるものか、スポティファイは何故にこのような上場を行ったかについて、スポティファイがSECに提出した申請書を読み解き、分析した。 本研究は、長期株主に対する優遇策についての研究ではないが、アメリカにおける近年のIPOの現状や新たな制度について考察したものである。この10年、NYSE上場企業は半数に激減している。また、スポティファイ、Uber等ユニコーン企業といわれる企業の上場を取り込む取引所の競争も盛んとなっている。今年は様々な特色のある取引所の開設が申請されている。 近年のIPOや新たな制度についての研究は、現在取り組んでいるテーマであるLTSE(長期投資取引所)の申請にも繋がるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究テーマである「スポティファイの行ったdirect listing(直接上場)」は本研究課題である「長期保有株主に対する優遇策」と直接には関係するテーマではなく、アメリカにおけるIPOの現状やそれに代替する新たな制度を扱ったものである。IPOの現状や新たな制度を理解することは、本研究課題の背景となるものであり、これを研究するための基礎的でかつ必須の知識であると考える。 平成31年度はこれらの知識を元により「長期保有株主に対する優遇策」に直接関係するテーマに取り掛かっているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
公益財団法人日本証券経済研究所における証券経済研究会および株式市場研究会のメンバーまたはオブザーバーとなっており、研究会に出席し、経済学的、法律学的な株式市場に関する様々なテーマについての議論に参加している。また、それぞれの研究会で定期的に発表し、ここでの議論を経て、「証研レポート」、「証券レビュー」、「証券経済研究」に査読論文を発表する。これらの論文は同研究ホームページでPDFの形で全文が公表されているため、誰でも閲覧可能である。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、8月に予定していたアメリカ出張が論文執筆のためできなかったことが原因である。本年度は、アメリカ出張の予定である。
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