2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K03496
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
福本 葵 帝塚山大学, 法学部, 教授 (40388880)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 長期保有株主 / Long term stock exchange / ロングターム証券取引所 / tenure voting / loyalty share / time-phased voting / LTSE / 複数議決権株式 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年4月8日、証券経済研究会において、「長期保有を優遇する議決権行使 tenure voting」と題する発表、および2019年8月27日、株式市場研究会において、「長期保有株主を優遇する議決権行使制度;tenure voting, loyalty shareまたはtime phased voting」と題する研究発表を行った。 研究会での議論を経て、『証研レポート』1714号(2019年6月)において、「長期保有株主を優遇する議決権行使制度-tenure votingまたはtime-phased voting-」を、『証券経済研究』第109号(2020年3月)において、「長期保有株主を優遇する議決権行使制度-tenure voting, loyalty shareまたはtime-phased voting-」を発表した。 『リーン・スタートアップ』の著者エリック・リースは,LTSE(Long term stock exchange)の開設をSECに申請し,承認された。同氏は当初,LTSEに上場する企業に対し,保有年数に比例して増加する議決権の制度の採用を要件としていた。この制度は,tenure voting, loyalty share, time-phased voting等と呼ばれている。フランスのフロランジュ法における二倍議決権は,この制度の一形態である。 近年,Alphabet、Facebookなど,多くの企業が複数議決権株式を採用している。これに対しては、短期投資家からの圧力を排除できる一方で,内部者に支配権が偏り過ぎるとの批判が高まっている。一方,tenure votingは,長期保有の株主であれば,誰に対しても追加的議決権が付与されるため,一株一議決権株式と複数議決権株式の,いわば折衷案として登場した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビューを予定していたLTSE(Long term stock exchange)の開設は承認されたものの、当初、上場の要件とされていた長期保有株主に対して、追加的議決権を付与する要件は取引所開設の際には、上場の要件とされておらず、未だ詳細が明らかにされていない。そのため、海外出張を実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
公益財団法人日本証券経済研究所における証券経済研究会および株式市場研究会のメンバーまたはオブザーバーとなっており、研究会に出席し、経済学的、法律学的な株式市場に関する様々なテーマについての議論に参加している。また、それぞれの研究会で定期的に発表し、ここでの議論を経て、「証研レポート」、「証券レビュー」、「証券経済研究」に査読論文を発表する。これらの論文は同研究ホームページでPDFの形で全文が公表されているため、誰でも閲覧可能である。
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Causes of Carryover |
LTSE(Long term securities exchange)の長期保有株主に対する追加的議決権付与の詳細が発表されるなど、海外調査に赴くことが可能となった場合には実行したい。 また、近年、tenure votingに関する論文が多く執筆されているところである。それらの論文、書籍を取り寄せて、研究の参考としたい。
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