2021 Fiscal Year Research-status Report
知的財産訴訟における一元的統御と多元分散的統御の最適化
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17K03499
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 広志 北海道大学, 法学研究科, 教授 (70360881)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 特許法 / パブリック・ドメイン / 新規性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究機関を延長した1年間となった。昨年に引き続きコロナの影響で主に授業関係の業務が忙しく、これまで通りの研究を行うことができなかった。 数少ない成果としては、パブリックドメインと特許制度の関係について、前年度に引き続いて研究を行った。この研究は、本研究のテーマから次なる研究テーマへの橋渡しとなる課題であって、研究最終年であることを踏まえて意識的に行ったものである。 具体的には、特許要件は、これまで特許保護のための要件として説明されてきたが、これは、裏を返せばパブリックドメイン保護の観点からの説明が十分になされていなかった。本研究ではこれまでの期間を通じてそのことを指摘した成果を数多く発表してきたが、今年度発表した成果は、この点についてこれまでの研究をいったんまとめて、暫定的な結論とこの先の方向性を示唆する内容となった。したがって、本研究と次期研究テーマとの関係をより明確にすることができ、継続的な研究という観点からも、成果として満足感が得られるものとなった。 もっとも、成果のボリュームとしては不満足なところもあり、次年度はコロナも落ち着きを見せていることから、コロナ前のパフォーマンスを示せるように自覚したい。 この他、均等論第4要件の研究を進めている。また、これまで十分な研究が為されていなかった特許法104条(生産方法の推定)についても、すでに成果をまとめており、次年度の早い段階で公表できる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記に書いたように、今年度についてはパフォーマンス的に自分でも満足していない。もっとも、研究初年度から見通した場合には、質量ともに十分な成果を出せている自覚がある。このような状況の下、次年度もさらに1年間の研究延長が認められたので、コロナによって抑制を受けた研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究最終年となることを意識し、本研究と次なる研究テーマの橋渡しを意識した研究を進めていく。 具体的には、まずまもなく発表できる特許法104条の生産方法の推定規定についての研究をまとめる。次に、進歩性にかかる大合議判決についても、独自の観点からまとめている研究を、次年度内に発表できる内容に持っていく。この研究はコロナの影響等で予定より遅れてしまっているが、本研究期間中に発表まで持っていきたい。 昨年度から引き続いている、均等論の第4要件の研究についても、次期テーマとの橋渡しとなることから、意識して進めていきたい。
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Causes of Carryover |
当初の予算では、学会・研究会出席のための旅費が多く計上されていたが、コロナの影響で出張が激減し、これを消化することができなかったため。 なお研究期間の延長(再)が認められたため、次年度で消化予定である。
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