2017 Fiscal Year Research-status Report
Would Large-Scale Oil Palm Investment Schemes Reduce Poverty? Case Studies from Indonesia
Project/Area Number |
17K03554
|
Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
浦野 真理子 北星学園大学, 経済学部, 教授 (30364219)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | インドネシア / アブラヤシ / 貧困解決 / 土地紛争 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の目的は、インドネシアのアブラヤシ農園開発は、住民の土地の自発的取引と雇用の創出によって農村の貧困解決に寄与するのかという問題を明らかにすることである。特に以下の点を検討する。①近年国際的な開発機関によって重視されている「自由で事前の、十分な情報を与えられた上での合意(FPIC)」のガイドラインは、住民の合意にもとづく土地取引の実現に結びつくのか。②農園開発によって地域住民の土地利用と労働の形態にどんな変化が生じているのか。土地利用と労働形態の変化ともに、家計間経済格差、社会関係にどんな変化が生じているか。③農園で働く移住労働者の雇用と生活はどのようなものか。そのため、平成29年度には以下の活動を行った。 平成29年8-9月、および平成30年3月の2回にわたり、ジャカルタ、東カリマンタン州東クタイ県を訪問し、地域住民とアブラヤシ農園で働く労働者に対する聞き取り調査を行った。 2018年3月22-24日、ジャカルタのインドネシア大学で開かれたオックスフォード大学東南アジアプログラムの2018年シンポジウム(University of Oxford, SEA Symposium 2018)において、「相いれない開発志向のアジェンダ:村落レベルの経験と反応」と題するパネルをオーガナイズした。調査で得られたデータの一部を用いて”Why FPIC Does Not Help Local Populations Facing Land Loss: A Case Study from East Kalimantan, Indonesia”と題して住民の「合意」を得るうえでの企業のコンプライアンスの問題について発表を行った。この論文を手直しのうえ、雑誌投稿を進めている。また、現地調査の成果の一部を用いて一般市民むけに2回の講演を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査について、東カリマンタン州での研究調査は非常に順調に進んでいる。東カリマンタン州での研究調査が順調である一方で、比較予定の西カリマンタンATI神学校で協力を依頼する予定だった人物が日本へ帰国となり、現地調査の予定がやや不透明な状況となっている。一方、成果発表について、データの一部はすでに学会発表も行い、ピアレビューの雑誌への投稿も一度投稿したものをリバイズして再投稿を進めており、研究成果の発表もおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
西カリマンタン州での予定していた現地調査について、西カリマンタン州のATI神学校で協力依頼を行う予定であった人物の後任者、および他の団体に連絡を取り協力の依頼を試みる。また、西カリマンタン州と同じくアブラヤシ農園開発が進んでいる西スマトラ州での調査地の発掘と比較研究の可能性も検討しながら平成30年度の現地調査の計画を立てていく必要がある。
|
Causes of Carryover |
① 西カリマンタンへの出張について、現地協力者の移動により研究計画に再考が必要となった。②また、東カリマンタン州でも現地調査において、適当な調査協力者が得られなかったことから、調査協力者謝礼が支払われなかった。③予定していた出張の時期が学会および投稿論文の英文プルーフリードへの支払いを予定していたが、作成の時期がずれたことで、次年度にずれこんだ。 ①と②については、現地の調査協力者と改めて連絡を取り、次年度に支出を行う予定である。③についても論文作成ができ次第、次年度に依頼、支出する予定である。
|