2020 Fiscal Year Research-status Report
ヨーロッパ人権レジームの変化に関する研究-地域紛争の人権侵害を事例として-
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17K03577
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
野田 岳人 群馬大学, 国際センター, 教授 (20372352)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人権 / レジーム / ロシア / チェチェン / 民族 / 欧州評議会 / 欧州人権裁判所 / テロリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はチェチェン紛争における人権侵害を事例として、冷戦後のロシアをめぐるヨーロッパの国際人権レジームの変化を考察するものである。人権分野では、冷戦時代にソ連に影響を与えた欧州安全保障協力機構から冷戦後には欧州評議会と欧州人権裁判所へと担い手が交替した。それに伴い、人権保護の射程はより個人的なもの、より人道的なものへと移りつつある。これは国際政治の司法化(judicialization)の現象の一つである。本研究では、第一にヨーロッパ人権レジームの変化と国際政治の司法化の現象を検討する。第二にチェチェン紛争における人権侵害の実態を把握し、その人権侵害の事例が国際政治化する過程を考察する。第三に他の地域紛争における人権侵害の事例と国際人権レジームの関わり方について整理する。 2019年度にはソヴィエト政権による民族政策の特徴とそれがソ連における民族間関係に与えた影響について歴史的な整理を行った。主にチェチェン人(一部イングーシ人を含む)の動向について、1940年代の強制移住と共和国の廃止及び50年代の共和国の再建と民族の帰還に関し史料に基づき考察を行った。2020年度はこの作業を継続しつつ、チェチェン紛争研究に着手した。チェチェン紛争研究では、1990年代当時の資料を中心に、紛争の発生前史から第一次紛争が終わる1990年から1996年を対象に分析を行った。また、幾度となく繰り返されたチェチェン独立派のテロリズムについて事実関係を把握するとともに、従来のテロリズムの形態や内容と比較をして、その特徴を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が学内の要職にあり研究時間を十分に確保が難しい状況が続いた上、新型コロナウイルス感染症の拡大によりロシアの研究機関への訪問やそこでの資料収集できなかったため、当初の計画よりも遅れている。 また2019年度にはソヴィエト政権による民族政策の特徴とそれがソ連における民族間関係に与えた影響について歴史的な整理を行い、1940年代の強制移住と共和国の廃止及び50年代の共和国の再建と民族の帰還に関し史料に基づき考察を行った。現在、それを論文にまとめているところである。2020年度のチェチェン紛争研究では、1990年代から蓄積してきた資料の事実関係の検証作業が順調に進んでおらず、当初の予定の前半部(1990~1996年)を終えたところである。 これらの理由より、予定より「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
1年延長した研究助成期間を用いて遅れている研究状況を改善したいと計画をしているが、海外研究機関への訪問が難しい状況にあるため、ここまで収集した資料に基づき、研究成果をまとめる予定である。新型コロナウイルス感染症がある程度収まり、ロシアの研究機関が利用できるようになれば、訪問して資料収集する予定である。 2019年度にはソヴィエト政権による民族政策の特徴とそれがソ連における民族間関係に与えた影響について歴史的な整理を行い、1940年代の強制移住と共和国の廃止及び50年代の共和国の再建と民族の帰還に関し史料に基づき考察を行った。それを論文にまとめる予定である。 2020年度のチェチェン紛争研究では、1990年代から蓄積してきた資料により、後半部(1997~2003年)の事実関係の検証作業をする。すでに作業を終えている前半部(1990~1996年)と合わせ、論文の公表につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
副センター長(2016年4月~2022年3月)の業務、教授への昇進(2018年4月)のための準備とその後の業務量の増加により本研究に割くことができるエフォートが極端に低下し、研究が進展しなかった。本研究の対象であるロシアおよびチェチェンに関する研究機関との調整がうまくつかず、予定より海外出張数が減ってしまった。これらの理由に加え、2020年度は新型コロナウイルス感染症のため、海外出張することができず、現地での調査が全くできなかった。 そこで、新型コロナ感染症が終息している場合、ロシアの研究機関への出張を検討しており、可能であれば、未使用額をその経費に充てることにする。新型コロナ感染症によりロシアへの入国が難しいようであれば、資料の入手のための費用に充てたいと考えている。
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