2018 Fiscal Year Research-status Report
U.S. Foreign Policy and New Administration on the Asia-Pacific Policy
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17K03586
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
我部 政明 琉球大学, 島嶼地域科学研究所, 教授 (60175297)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 対外政策 / 米外交 / アジア太平洋政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、政権交代を介した米国のアジア外交の連続と非連続を、オバマ政権の推進したアジア重視のリバランス戦略の形成と展開をめぐるメカニズムから、説明することである。 オバマ政権は、2009年1月に誕生し、従来の外交・安全保障政策とは距離を置き独自の基本的な姿勢として、このリバランス戦略を位置づけた。しかし、この戦略は米国の外交政策の基調とはならなかった。本研究は、このリバランス戦略が(1)なぜ外交政策の基調とならなかったのか、(2)リバランス戦略を進めた結果として、何を実現したのか、(3)次の政権の外交政策に与える課題と何か、などの問いに答えることである。 上記の目的を達成するためには、まず、戦後米国のアジア外交の軌跡をたどる。そして、具体的に、(1)政権交代によって変化する外交課題を生みだす各政党の外交政策の基調を明らかにしなければならない。(2)民主党政権の継続となる政権交代そして共和党の継続となる政権交代、あるいは民主党から共和党そして共和党から民主党hジェの政権交代、などのそれぞれの特徴を明らかにする必要がある。(3)オバマ政権に焦点をあてるとき、その前の政権でテロとの戦いを開始したブッシュ(息子)の外交政策の基調を検討しなければならない。 このようなオバマ政権を生み出した米国の国内政治と米国の対外関係に関する研究の整理が、不可欠となる。それによって、オバマ政権が従来の外交・安全保障政策の何を変更しようとしたのが、明らかになる。そして、なぜリバランス戦略を追求するのか、それを構成するものは何なのか、そのための国内説得の論理は何なのか、などを明らかに出来る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年(平成29年)度に引き続きに、三つの柱を立てて、研究を進めて来た。 (1)政権交代における米外交の連続と非連続に関する文献調査進めた。(2)オバマ政権下で進められたリバランス戦略が展開した際に報じられた研究論文やメディア報道記事の収集を行った。(3)米外交のアジア太平洋政策の連続と非連続に関わる公文書資料の取集および分析を行った。 ワシントンDCとロンドンにて、米国と英国のアジア太平洋政策のにおける対日関係に関する公文書資料を収集し、その成果は、一部のメデイアにて発表した。共同通信配信記事(2019(平成31)年3月11日)において、日米間で結ばれた米軍の地位に関する協定(当時は日米行政協定、現行の日米地位協定)の中に刑事裁判権の放棄と不行使の密約が、1953年10月に英連邦軍にも同じく適用する合意がなされたことを紹介した。これは、英国立公文書館での資料調査の成果の一部である。また、共同通信配信記事(2017(平成29)年11月20日)において、 米政府内で1969年6月、沖縄返還交渉に向けて沖縄だけなく日本本土に核兵器を持ち込むことを最大限の目標としていたことが明らかとなった、と紹介した。これは、米国立公文書館での資料調査の成果の一部である。 さらに、米国のニクソン大統領図書館での資料調査で入手した資料を使って論文(共著として)を作成した。これは、『国際琉球沖縄論集』第8号(2014年4月、11頁-30頁)に掲載された。豊田祐基子・我部政明「沖縄返還と繊維問題のリンケージ:「糸と縄」の取引はあったのか」。
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Strategy for Future Research Activity |
最終となる今年度(平成31)は、以下の通り。 過去の2年と同じく、三つの柱を立てて研究を進める。 (1)政権交代における米外交の連続と非連続に関する文献調査進める。(2)オバマ政権下で進められたリバランス戦略が展開してした際に報じられた研究論文やメディア報道記事の収集を行う。(3)米外交のアジア太平洋政策の連続と非連続に関わる公文書資料の取集および分析を行う。 残された資料調査を継続して、米国の大統領図書館や英国立公文書を訪問して、上記目標を実現する。 最終年度として、これまでの研究の取りまとめを行う。
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Causes of Carryover |
これは、昨年度(最初の1年目)終了時に生じた「次年度使用額」を、事実上、今年度(2年目)に消化できなかったことにある。次年度(最終となる3年目)において、残された資料調査を実施することによって、執行を完了する。
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Research Products
(1 results)