2019 Fiscal Year Research-status Report
China's Roles in Conflict-Affected Regions: The Realities of Non-Interventionism
Project/Area Number |
17K03606
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
廣野 美和 立命館大学, グローバル教養学部, 准教授 (40757762)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 中国 / 国連平和維持活動 / 国際人道支援 / 南スーダン / モルジブ / 政策決定過程 / アフリカ / ODA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第3年目の活動として、本研究の目的で記した3つの中心的問題に関して具体的な実績をあげるとともに、4年目に次期研究プロジェクトを構築し更なる研究の広がりを目指すことを射程に入れた研究実績をも積むことができた。また、本年は元々の研究計画ではマリで現地調査を行う予定であったが、現地情勢が不安定であることと、南スーダンにおいては戦火を避けるため中国のODAや投資があまり多く行われていないことがわかったため、他の事例におけるODA政策を検討する必要があったこと、という二つの理由により、マリの研究は文献調査をベースにして行い、現地調査は中国がODAや投資事業を多く行っておりその分析が可能なモルジブで行なった。モルジブは、「一帯一路」と「自由で開かれたインド太平洋」とが交差する、地政学的に非常に重要な場所である。そこでの調査からは以下のとおり実りの多い結果が得られた。
(A)「中国政府の政策」:中国が行う国連平和維持活動と国際人道支援に関して、国際規範や国際政策への関与の仕方の程度が全く異なることに注目し、その差異の理由について分析した。中国国内の政策決定過程の集中化と分散化が、中国の国際政策面での協力の深化の程度に関連していることが明らかになった。また、中国のアフリカにおける軍事的政策と、その国際秩序への関わりについても、研究報告・執筆を行った。(B)「様々な中国アクターの活動」:今年度は現地調査を行なったモルジブにおいて、中国アクターの活動が現地の政治社会状況にどのように関連しているかを研究し、研究報告も行った。(C)「紛争・災害地域の人々の認識」:南スーダンとモルジブそれぞれのインタビューをより深く分析し、分析結果に関して学会報告を行った。
また、プロジェクトウェブページも随時アップデートを行った(https://chinaandassistance.com/about/)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の研究実施計画(中国政府の政策に関するアップデート、プロジェクトウェブページのアップデート、現地調査でのインタビューのテープ起こし)を完了した上、マリの文献研究に加えて新しい事例であるモルジブに関する現地調査を実施。また、これまでの実証研究をふまえて以下の出版と研究報告を先立って実施。 また本研究の中心的問題(特に中国アクターと紛争・災害地域の人々の認識)に関して、事例研究をさらに発展させ、立命館大学国際地域研究所の支援も得ながら、次期プロジェクトを見据えた裾野の広い共同研究を開始。 南スーダンにおいてRAを雇用する予定であったが、令和2年度に日本国際協力機構(JICA)緒方貞子平和開発研究所の協力でジュバに行くことを計画中のため、RAの雇用は見合わせた。
1)中国の国連平和維持と人道支援に関わる様々な中国アクターの活動と政策決定過程における役割、国際政策協力への影響について学会報告(Int’l Studies Assoc. in Asia Pacific)。査読論文を国際雑誌で発表(Australian Journal of Int’l Affairs)。2)中国のアフリカ地域における軍事的政策の展開について、国際学会(Konrad Adenauer Stiftung財団より招聘)で報告、論文執筆(提出済)。3)モルジブでの中国アクターの活動と現地認識を調査。分析結果について学会や研究会で報告(US-Japan Inst. 等)。4)南スーダンでの中国アクターの活動と現地認識に関する分析結果を学会報告(日本国際政治学会)。5)中国アクターと紛争・災害地域の人々の認識について、一帯一路構想に関する共同研究を開始。その研究意識について研究会で報告(立命館大学、東京大学)。6)中国の紛争地域における役割と国際政策的意味合いについて市民講座開催、社会・国民へ発信。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)令和二年度は、一昨年度行った南スーダンに関するインタビューを補完するため、上記JICA研究所のサポートも得ながら、南スーダンでインタビューを行う。 2)米国、中国の政策関係者・研究者とも意見交換をして、この4年間の研究の政策的意味合いについて考察し、社会・国民への発信を行なっていく。 3)これまでの研究結果を単著としてまとめ、ブックプロポーザルを提出する。 4)本研究を踏まえて生じてきた問題に関する次期研究プロジェクトの科研費申請書を執筆する。 5)プロジェクトウェブページのアップデート。
|
Causes of Carryover |
1)フィールドワークとしてマリに行くことを検討していたが上記の理由により中止し、代わりにモルジブを訪問した。この時の費用のほとんどは共同研究をした早稲田大学により支払われたため。2)南スーダンのRAを雇用予定であったが、令和二年度に私自身がジュバに行くことになり、雇用しなかったため。3)2020年2-3月に米国で紛争地域における国連政策と中国の役割についての調査を行う予定であったが、コロナウイルスのために渡航が不可能となったため。4)2020年3月に米国でInternational Studies Association年会に参加予定だったが、コロナウイルスのため渡航が不可能となったため。
|
Research Products
(15 results)