2022 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of imparfect self-knowledge on two-sided search with bargaining
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17K03639
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
丸山 亜希子 流通科学大学, 経済学部, 准教授 (00508715)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サーチモデル / 不完全自己認識 / 労働市場 / 過小評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度までにこれまで作成した2タイプの主体のモデルを3タイプに拡張し、マッチング相手と交渉がある場合に不完全自己認識による自己に関する学習が2方向サーチマッチングにどのような影響を与えるのかを調べようとしていた。しかし、タイプ数を増やすと主体の自分のタイプ(能力)に対する「信念」の種類が増え、モデルが非常に複雑化してしまったため、その後、モデルを構築し直すことにしていた。これらを受け令和3年度以降は、学習の結果として起こる自分の市場価値と本来の市場価値にかい離がある状態に注目して分析を行うことにした。すなわち、単純化のため学習過程をモデルから除外し、自分のタイプを過大または過小評価の行動をとる主体について分析を行うことにした。令和3年度は自己を過大評価している労働者と雇用主との、交渉を伴う2方向サーチマッチングについて分析を行い、令和4年度は過小評価の場合について分析を行った。令和4年度に得られた結果は以下のとおりである。まず、ある人の過小評価の行動は、過小評価の主体とそのマッチング相手との交渉に影響を与える。令和3年度に分析した過大評価の場合は、過大評価をする主体は誰ともマッチングできないため、交渉に影響を与えることはなかった。これに対して、過小評価をする主体とマッチングする(完全自己認識の)相手は交渉により、全員が完全自己認識の場合よりも多くの利得を得ることができることがわかった。また、ある者の過小評価行動はマッチングできない他者を生み出さないことが示された。過大評価行動の場合には、下方タイプの他者がある人の過大評価行動によりマッチングしできなくなることが示されていたが、過小評価の場合には、効用が移譲可能なことと、均衡では過小評価行動が起こるために下方タイプ同士がマッチングしていることが必要であることから、マッチングできない他者を生み出さない。
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