2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K03641
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鍋島 直樹 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (70251733)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経済学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度にあたる2017年度は、理論と政策の両面にわたってポスト・ケインズ派経済学の展開過程について振り返り、今日における意義と可能性についての大まかな理解を得ることに努めた。それとともに、広く異端派経済学の諸潮流における新動向の把握にも取り組んだ。これを踏まえて、ポスト・ケインズ派の方法論についての検討を進めた。 現代の経済学においては、正統派経済学と異端派経済学という二つの競合的なパラダイムが存在している。異端派経済学のパラダイムは、(1)現実主義、(2)環境整合的な合理性と経済主体の満足化行動、(3)有機体論、(4)生産と成長の問題への関心、(5)市場を規制する必要があるという信条、という五つの前提にもとづいている。ポスト・ケインズ派は、これら五つの前提をすべて受け容れている。しかしその一方で、短期においても長期においても「有効需要の原理」が妥当性をもつと主張するとともに、貨幣的生産経済、根本的不確実性、歴史的時間という諸概念の関連性に注目している点において、他の異端の諸学派から区別される。 今日、研究と教育における制度的基盤をどのように維持・強化して、自らの地歩を拡大するのかが、ポスト・ケインズ派にとっての重要課題となっている。現実の経済社会が直面する諸問題に対する適切な分析と政策提案を進め、供給サイドやミクロの課題へと取り組むべき問題の範囲を広げるとともに、それらの問題の解決策を探るために、他の異端の諸学派との協力を強めていくというのが、ポスト・ケインズ派の進むべき道であることは間違いない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度にあたる2017年度の目的は、ポスト・ケインズ派経済学の意義と可能性についての大まかな展望を得ることにあった。この目的を達成するため、ポスト・ケインズ派経済学をはじめとする異端派経済学における最近の興味深い文献を広く渉猟した。またこれと併せて、経済学の歴史におけるポスト・ケインズ派の位置づけ、および現代経済学におけるその役割についても、あらためて確認するように努めた。今後は、これらの成果を踏まえて、ポスト・ケインズ派の理論・方法・政策についての検討をさらに進めていくことができるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度の成果を踏まえて、ポスト・ケインズ派の経済理論および経済政策についての検討を進めてゆく。しかしながら、ケインズとカレツキの学史的検討、および現代政治経済学における諸潮流の新動向の把握など、初年度に扱った課題にも継続して取り組んでいくことになるので、研究期間全体を通して、過去の理論と現代の理論のあいだの往復作業を絶えず続けていくことになる。
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Causes of Carryover |
2017年度には、ほぼ計画通りに予算を使用し、その結果、127,590円を次年度に繰り越すこととなった。2018年度についても、当初の申請からの大きな変更はない。研究費の大部分を経済理論・経済学史関係図書の購入に充てるとともに、必要に応じて、資料収集のための国内旅費、および謝金などの支出を行なう予定である。
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Research Products
(1 results)