2018 Fiscal Year Research-status Report
環境と移民のフィードバック効果:内生的技術獲得と人的資本のスピルオーバー
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17K03682
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中田 実 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (50372545)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 環境と移民 / 環境汚染 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度については、特に環境問題に関する理論モデルを構築するための基礎的な枠組みの構築に着手した。近年欧米各地を中心に,サテライトファミリー(衛星家族)という,新しい移民の形態が広まっている.具体的には,家族での移民問題を扱うが,その際,労働は移民前の自国で行い,配偶者と子供のみを主に先進国などの移民先国で扶養しつつ,生活費を自国から移民国宛に送付し,移民国側で,配偶者及び子供が教育その他の公共サービスを受けとる,という新しい移民のスタイルである.この現象をモデルの中に取り入れるためめ,2ステージの移民モデルを検討した.後ろ向き帰納法で,まずは2期目に子供世代が,移民元の国に帰るか,移民先に残るかを検討する.そのうえで,1期目に親世代が移民するか,もしくはサテライトファミリーとしての仮移民をするかどうかを検討する,という方法である. モデル設定の際の助言を得るため、研究協力者となって頂いているカナダはブリティッシュコロンビア大学(UBC)のCarol McAusland 准教授を名古屋大学に招聘した.McAusland氏からは、2ステージモデルを構築する際のテクニックを学ぶことができた.今年度以降は,特に動学的な移民の決定プロセスに力点を置いてモデル構築を行うべきだというご助言を頂いたが,その具体的な方法論については,まだ研究途上であるため,次年度以降の課題となってくる可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の目標は移民に関する応用的なモデル開発に費やすことになっており、概ねその目標を達成しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目には、まずは2年目に行った応用モデルを完成させ、基本的なモデルの動きを比較静学を行うことで検証し、おかしな動きをするパラメーターがないかど うかチェックする。そのほか動きを現実的なものにするために、既存研究や研究協力者の助言を頂きながら、他に必要なパラメーターがないかどうかについても チェックを行うが、その際に再びMcAusland氏からの助言をより詳細に頂くため、再びMcAusland氏を名古屋大学に招聘する可能性がある。次に移民が環境に与えうる動学を検証するために、より一般的な一般均衡モデルを構築する。第三に完成したモデル分析の現実的 な示唆をより詳細に得るため、シミュレーションを行う予定である。その際には計算ソフトが必要になってく。また、データと時間の制約を検討して、中国とカナダとの関係に対象を絞って進める所存である。その後、3年目以降の環境汚染に対する影響を分析するための準備として、引き続き文献レビューを並行して行っていくことにしている。
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Causes of Carryover |
次年度に使用する額が24,585円ほど残ってしまったが、これは想定していた額より安価に購入できた物品があったためであり、年度末の会計締め切り直前に判明したため残額が残ってしまった。しかし、比較的少額であるため次年度の使用計画について大きな変更を必要としない。一方、次年度についてはより慎重に使用計画を策定する所存である。
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Research Products
(1 results)