2021 Fiscal Year Research-status Report
Financial Inclusion, Remittance Inflows, and Poverty Reduction in Developing Countries
Project/Area Number |
17K03687
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 武 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (20450546)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 金融包摂 / 国際送金 / 金融発展 / 開発金融 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は本研究課題について、1)デジタル金融包摂という観点から研究を深めるとともに、2)金融包摂の所得格差に対する効果という関連するテーマについても研究を行った。 1)については、本研究課題に関連し、且つ内容をさらに発展させるテーマとして昨年度より着手した研究の継続である。ここでは、商業銀行の業務を代行するローカルエージェントのうち、特にモバイルデバイスを活用して顧客がモバイル口座への現金の出入金をサポートするモバイルマネーエージェントの役割に注目し、彼らの存在が顧客の所得水準の増加、ひいては国レベルの経済成長に貢献するかについて、計量手法を用いた分析を行った。その成果として「金融アクセスと経済成長:モバイルマネーエージェントの役割」というタイトルで論文を作成し、現在、国際学術誌に投稿している。 2)については、金融包摂の所得分配に対する影響を検証する研究が最近増加し、様々なことが明らかになっていることを考慮して、こうした一連の先行研究を概観するとともに、より最近注目されている金融包摂の所得格差に対する非線形効果について分析を行った。この非線形性に関する先行研究はまだ数が限られている。ここでは、複数の観点から金融包摂の性質を捉えた体系的な金融包摂指標を用いて分析を行い、金融包摂の進展が所得格差を縮小させ、金融包摂が進展するほど、その所得格差を縮小させる効果が拡大することを明らかにした。2021年度にこの研究は完了しており、論文の英訳が終了次第、学術誌に投稿することを予定している。 最後に、本研究課題について、今般、国際学会が対面で再開される動きが見られることから、2022年8月にシンガポールにて開催予定の国際学会に参加し、延長期間中に行った本研究課題に関する研究を報告することを予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
延長期間中に関連する論文を2編作成した。しかし、2021年度に予定していた海外での成果報告が新型コロナ感染症拡大のため中止となった。このため、本研究課題を1年延長し、2022年度中に国際学会に出席し、成果の普及を図ることを計画している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年8月にシンガポールで本研究課題について成果普及を行う予定であったが、新型コロナ感染症拡大により、同国での成果普及の機会が延期になり、その結果、期間延長を申請することになった。その後も対面式での成果普及は国内外の感染状況から難しい時期が続いたが、2022年に入り、先進国の一部では渡航緩和が進んでいる。このため、現在、2022年8月にシンガポールで開催予定の国際学会(Singapore Economic Review Conference)での成果報告に向けて準備を行っている。
|
Causes of Carryover |
2022年3月にシンガポールで開催される国際学会に出席し、本研究課題について成果普及を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、同学会の開催が延期になり、その結果、当該助成金が発生した。2022年8月に、同学会が改めて開催されることが決まったため、これに参加し、海外での成果普及を行うことを現在計画している。
|