2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K03756
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長江 亮 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任研究員 (80468876)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 障害者雇用施策 / 労働需要 / 利他性 / 社会規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究代表者のこれまでの研究で、日本の障害者雇用施策の基では障害者雇用の促進が個々の企業経営者の意志にゆだねられることが明らかにされている。本研究の目的は、日本の障害者雇用施策の基で多数の障害者を雇用する企業経営者の障害者雇用に対するインセンティブを実証的に厳密に明らかにすることである。 本研究で使用する予定の『CSR企業総覧』(東洋経済新報社)の購入費は本年度経費と昨年度からの繰越金を合計しても不足する。そのため平成30年度の研究計画は、研究のキーワードである『利他性』を考慮した本計画をより充実させるような研究の遂行であった。 本年度は『利他性』がキーワードにもされることの多いODA(政府開発援助)に関するパネルデータを用いた研究を行い、その一次的基礎分析の結果を公刊した(この論文は、昨年度に公刊が決定していたため、昨年度の研究成果として報告済である)。また、この延長として国際査読付き雑誌への投稿を考慮した研究を行い、その研究をWEA (Western Economic Association) 15th International Conference(国際学会)で報告した。この研究は今年度中に投稿先に合わせた形で改定を行い、国際査読付き雑誌へ投稿する。 さらに、『利他性』を明示的に取り扱うことのできる実験経済学の統計的手法を体系的に整理した海外の教科書、Peter G. Moffatt,(2015) "Experimetrics: Econometrics for Experimental Economics"1st ed.,Palgrave.を『経済学のための実験統計学』というタイトルの訳本として勁草書房から出版するプロジェクトに訳者として参加した。本書は本年度12月に公刊されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、データの購入にほぼすべての研究費を必要とする。そのため、今年度までは当初計画を実行することの頑健性や妥当性に関わる補助的な作業を行うことに尽力することが主要な研究内容となった。昨年度、今年度ともに今述べた内容の研究作業を実行することができ、その活動に伴う研究成果も出せているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では(1)障害者雇用と人事施策との関係の検証、(2)障害者雇用とCEO もしくは取締役の出自、属性・コーポレート・ガバナンスとの関係の検証、(3)障害者雇用とCSRとの関係の分析を行う、としている。これらはすべてその基になるデータが入手できたうえで実行可能となる計画である。今年度の研究費が加わった時点で上記研究計画を実行するための研究データの入手が可能となる。計画最終年度となる本年度は以上の研究を当初計画に基づいて行う。
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Causes of Carryover |
本研究計画策定時に利用予定のデータとして『CSR企業総覧』(東洋経済新報社)をあげた。本研究経費のほぼすべてはこの購入費用に充てられており、単年度の直接経費では購入することはできなかった。従って、昨年度、一昨年度は、このデータの使用妥当性と当初計画の学術的妥当性の確認、本研究に強く関係してくる『利他性』をキーワードとして含む経済学研究を行ってきたため。
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[Book] 経済学のための実験統計学2018
Author(s)
ピーター・モファット(著),川越敏司(監訳),會田剛史,小川一仁,佐々木俊一郎,長江亮, 山根承子(訳)
Total Pages
640
Publisher
勁草書房
ISBN
978-4-326-50452-7