2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K03810
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齋藤 卓爾 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 准教授 (60454469)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 企業金融論 / コーポレートガバナンス / 取締役会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は取締役会構成が企業行動、業績などに与える影響を、コーポレートガバナンス・コード導入を利用して分析した。取締役会構成が企業行動や業績に与える因果的影響をとらえるのは、内生性があるため容易ではない。2015年3月に公表され、2015年6月から適用が開始されたコーポレートガバナンス・コードでは上場企業に対して2名以上の社外取締役を任命することを求めた。そして、それをしない場合は、その理由を開示することを求めた(コンプライorエクスプレイン)。その結果、ほとんどの企業は社外取締役を2名以上選任するようになった。つまり実質的には社外取締役を2名以上選任することが義務化されたのである。本研究ではこのイベントを利用して、社外取締役の増員が企業業績に与える因果的効果を推定することを目指している。本年度はそのための、サンプルや分析期間などの分析の枠組みの設定、ならびに必要なデータの収集、基礎的な分析を行った。分析の結果、東証1部上場企業でみると約7割の企業、東証2部でみると約8割の企業がコーポレートガバナンス・コード導入前は社外取締役を2名以上選任しておらず、これらの企業がコード導入に伴い社外取締役を2名選任することになった。この選任伴う社外取締役人数、ならびに社外取締役比率の上昇が企業業績、具体的には株式市場の評価を示すトービンのq、総資産利益率、企業行動、具体的には配当性向、設備投資、研究開発投資、企業買収などにどのような影響を与えているのかを明らかにすることが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コーポレートガバナンス・コードの導入が2015年と近年のため、直近のデータを織り込んだ分析ができなかった。今後は直近のデータも収集し、分析をより充実したものとしていくつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
コーポレートガバナンス・コードの導入が2015年のため、分析を行うためには直近のデータを必要としている。今後は直近の財務データや取締役役会データ、株主構成などを収集し、分析をより充実したものとしてくつもりである。
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Causes of Carryover |
本年度は成果を論文としてまとめる予定であったが、直近期までのデータが必要となったため、データ収集ならびに分析を継続する必要が生じた。そのため、今年度の研究費を次年度以降に使用していく予定である。具体的にはデータの購入費用、データ収集のための人件費、データ処理のためのPCの購入費として使用するつもりである。
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