2018 Fiscal Year Research-status Report
M&A実施企業の組織マネジメント:トップの関与が研究開発活動にもたらす影響の解明
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17K03893
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
篠崎 香織 実践女子大学, 人間社会学部, 教授 (50362017)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 特許 / 特許公報 / 発明者 / 研究開発 / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、特許公報を使ってM&A実施企業の技術の連続性に注目した分析を行った。昨年度は分析対象にしている企業がM&A実施以前から保有している特許とM&Aによって譲受した特許、さらにM&A後に出願した特許について、技術分野を基準に分析を行った。その結果、M&A実施期企業が以前から出願しており、M&A後も継続して出願している技術と、M&A後には出願がない技術、M&A以前はM&A実施企業からの出願はないが、M&A後には出願のある技術に分類できた。M&A実施企業がM&A以前からM&A後も継続して出願している技術の中には、もともと被M&A実施企業でも出願があった技術と出願のない技術があった。両社で開発対象になっていた技術分野では、M&A前後比でM&A後の出願数が増えているものもあった。M&A実施企業にとってM&A以前は出願経験がないが、M&A後には出願がある技術は、被M&A実施期企業から譲受した技術で、継続開発が行われていることが示唆された。 上記の出願状況を踏まえて、今年度は特許公報をもとに発明者や特許の被引用の状況の分析を行った。結果についてはM&A実施期企業の担当者に確認をした。一連の研究により明らかになったのは、以下の3点である。 (1)M&A実施後にM&A実施企業から出願された特許の発明者を確認した結果、M&A実施企業と被M&A実施企業の発明者の連名記載のものはなかった。よって、(2)M&A以前より両社で出願のあった技術で、M&A後に特許の出願件数が伸びている分野があるが、それは二社の開発担当者の協働による成果ではない。(3)被M&A実施企業から譲受した技術の発明者はその後も同じ技術分野の開発を継続し、特許出願をしている。 M&A後も研究開発テーマや体制は独立しており、重複分野をもつ企業同士のM&Aであっても、単純に人の異動を伴う研究開発が始まるというわけでない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の進捗がやや遅れている理由は以下の2点である。 1.ケース分析をするための対象企業の選択が難しく、絞り切れていない 2.質問票調査の実施が難しい
2.については、計画当初、2006年から2012年までにM&Aを実施した企業を対象に質問票調査を実施する予定だった。実施企業は特定できているが、M&A実施の経緯やM&A実施前後の研究開発部門の様子を把握している人を調べ上げるのは非常に難しく、ほかの方法を検討することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在研究対象にしている企業について、さらに情報収集をしていく。これまで、当該企業の医療用モニターに分野に関するM&Aに注目し分析を進めてきた。この分野を強化していくために、さらにこの5年のうちに2つのM&Aを行っている。こうした追加のM&Aが医療用モニターを含む事業にどのような影響を与えているのか、また企業の拡張によって組織がどのようにマネジメントされているのかを明らかにする。 さらに別の企業を対象にした調査を始める。
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Causes of Carryover |
当該年度はすでに購入した特許データベースと国内外のサイトを通じて入手可能な特許公報のデータを使用した分析を行ったため、次年度使用額が発生した。 今年度はインタビュー調査を実施するとともにインタビュー対象企業の特許データを購入する予定で、そこに繰り越し分の予算を充てていく。
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Research Products
(3 results)