2017 Fiscal Year Research-status Report
公民コラボレーション実施過程における協働優位性の確立:制度のロジックを用いた分析
Project/Area Number |
17K03911
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
東郷 寛 近畿大学, 経営学部, 准教授 (10469249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金川 幸司 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (00341470)
吉田 忠彦 近畿大学, 経営学部, 教授 (20210700)
團 泰雄 近畿大学, 経営学部, 教授 (60298502)
井上 祐輔 函館大学, 商学部, 講師 (90737975)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 新制度派組織論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, セクターを超えた組織間提携である「公民コラボレーション(Public Private Collaboration: PPC)」を研究対象とし,長期的視点から行為主体の実践の基底となる「制度のロジック」(以下,ロジック)の分析に焦点を合わせつつ,「協働優位性」が生み出される効果的なPPCの条件を明らかにすることにある。その過程において第一に,PPC策定時において,行政組織がどのようにPPCのロジックを構築したのか,そして,PPCを受託する非営利組織が行政ロジックに適応するロジックをどのように構築したのかを明らかにする。第二に,PPC実施過程で行政ロジックが転換するなかで,非営利組織がそれに対応しながら,どのように「協働優位性」を生み出してきたのかを明らかする。最後に,以上を通じて,効果的なPPCの条件に関する仮説の導出を試みる。 本年度は,PPCを含めた公民パートナーシップの形態に関する文献研究を行いつつ,フィールドワークを行った。具体的には,20年近く継続されているコミュニティビジネス(Community Business: CB)創業支援事業を対象とし,本事業の政策立案を行った行政組織とその事業を受託した非営利組織へのインタビュー調査を重ねるとともに関係資料の収集を行った。調査を通じて得た質的・量的データをもとに,分析対象となるPPCの流れを詳細に記述し,各組織の実践の基底となるロジックとそれに基づく戦略的行為を明らかにした。その作業過程において,代表研究者は,調査協力者に記述内容の確認や分析結果のコメントをお願いするとともに,調査協力者からのフィードバックに基づいて記述内容の修正と分析の精緻化を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従って,滞りなく調査研究を進めることができた。その理由として,リサーチサイトが研究拠点から近場にあること,そして,以前からつながりのある組織を対象にしていたことがあげられる。その一方で,研究成果として発表するまでには至っていない。本年度は,採択されたものの,国際学会での発表に向けたプロポーザルの提出に留まっている。従って,研究成果として発表論文を作成することが次年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
国際学会での発表に向けた論文の作成と文献研究を中心に研究活動を推進する予定である。第一に,論文作成においては,本年度に行ったフィールドワークから得たデータをもとに事例を分析し,そこから効果的なPPCの条件に関する仮説を導出する。その後,国際学会での反応を確かめたうえで,海外ジャーナル投稿に向けた準備を行う。第二に,文献研究においては,PPCの形成から評価までの分析枠組に関する先行研究レビューを丹念に行い,独自の分析枠組の構築を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度に行ったインタビューデータのすべてがテキスト化されていないこと,そして,本年度に予定していた論文の英文化が遅れていたことが理由としてあげられる。次年度繰越分は,インタビューデータ反訳費と英文校閲費に充てる予定である。
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