2017 Fiscal Year Research-status Report
多国籍企業の言語戦略と知識移転:日本企業の事例研究
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17K03917
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金 熙珍 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (40634530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板垣 博 武蔵大学, 経済学部, 教授 (20125884)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言語戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度の研究実績としては、大きく国内外における企業インタビュー調査、アンケート調査のデザイン作業、海外学会への論文投稿の3つに分けられる。以下で順に説明する。 一つ目に、2017年の6月から2018年の3月に渡り、DMG森精機、デンソー、アルプス電気、日本バイリーン、アルバックの5社を対象に10回程度のインタビュー調査を実施してきた。日本本社においては、本社が持つ言語戦略の考え方及び施策、実行状況などを確認した。一方、韓国や中国拠点においては現地拠点においてどのような部門で、どの言語が使用され、それが日本との情報交換にどう影響するのかを探っていった。このような企業調査により、日本企業における言語の使われ方と特定言語を選択する理由とその結果について、現状をある程度把握することができた。 二つ目は、企業調査と同時並行で、大量サンプル調査を念頭においたアンケート調査をデザインする作業を研究会などを通じて行ってきた。アンケート調査は、海外拠点が部門別に使用している言語の種類が、本社と海外拠点間の情報交換にどのような影響を与えるのかを、生産部門と開発部門に分けて分析するためのものである。今後においても、統計的有意性や研究目的との合致性などを検討しながら、さらなる工夫が必要な部分である。 三つ目は、文献整理及び企業調査を踏まえ、‘Functional language of Japanese MNCs: A predetermined construct or a product of deliberate selection?'といった論文を作成の上、2018年5月にパリで開催される国際学会に投稿したことも成果として挙げられる。本研究テーマの専門家が世界中から集まる学会において研究報告のチャンスを得られたのは、本研究の今後の発展に大きく影響すると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間的制限はあるものの、企業調査は最初の計画通りほぼ進んでいる。初年度の企業調査を通じて、どのように研究テーマを絞り、より深く追求していくべきかが見えてきた。来年度からはよりフォーカスされた調査を重ねていきたいと考えている。 アンケート調査は、そのデザインに力を注いだものの、実行することの有効性についてまだ検討が必要である。この部分については、来年度の前半までには方針を明確にしたいと考えている。 2018年5月の国際学会への論文投稿は順調であったが、今回受けられたレフェリーコメントにどのように対応しながら、最初の論文をジャーナル投稿まで持っていくのかは今後の課題となる。 全体として、データ収集及び学会報告といった当初の計画は、非常に順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は大きく以下の3つの目標をもって研究を進めていきたい。 一つ目は、2018年5月の国際学会での報告、その後の関連分野の研究者との議論を経て、学会に提出した論文をさらに発展させた形で2018年9月をめどにJournal of World Business,又はManagement International Reviewに投稿する予定である。 二つ目は、ジャーナル投稿作業を進めながら、同時に、最初の論文をより発展させ2番目の成果報告につなげるためにどのような調査が必要なのかを研究会などで議論し、それに向けて企業へのインタビュー調査を重ねていきたい。そのデータをもって、2018年末に学会報告を申請するといったサイクルを作っていきたいと考えている。 三つ目は、2017年に作り上げたアンケート調査の実行について目途をつけたい。現在としては、本テーマで大量サンプルを集めることについてどれだけ意義があるのかを研究者同士で議論している途中である。
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Causes of Carryover |
研究会を主に東京で開催し、金が仙台から東京へ出張する場合が多かったため、研究分担者の板垣の方の研究費が残ってしまった。
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Research Products
(1 results)