2018 Fiscal Year Research-status Report
社会イノベーターの持続的輩出を可能にする社会関係資本ベースの教育手法開発
Project/Area Number |
17K03918
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西出 優子 東北大学, 経済学研究科, 教授 (60451506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上西 智子 東北大学, 経済学研究科, 博士研究員 (70420023)
李 浩東 東北大学, 経済学研究科, 博士研究員 (10803059)
中尾 公一 東北大学, 経済学研究科, 博士研究員 (60807098)
江口 怜 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 特任助教 (60784064)
菊池 遼 東北大学, 経済学研究科, 博士研究員 (40823167)
田中 陽平 東北大学, 経済学研究科, 博士研究員 (30827895)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非営利組織 / 社会関係資本 / 社会イノベーター / リーダーシップ / 教育 / 人材育成 / 復興 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、社会イノベーター育成・リーダーシップ、社会関係資本の理論的実践的動向や教育・評価の理論や手法に関する文献調査、国内外での聞き取り調査、教育手法・評価手法の実践、公開セミナー開催、研究成果発信を行った。 (1)文献調査:ソーシャルイノベーターの育成・リーダーシップおよび社会関係資本の最新の理論的動向や、教育手法・評価手法の開発に向けた関連文献をレビューした。 (2)国内外での聞き取り調査・全国教育手法実態調査:米国や香港の大学やNPO、東北地方を中心としたNPOを訪問・招聘し、ソーシャルイノベーター教育・育成手法やソーシャルイノベーターのライフヒストリー・リーダーシップ開発に関する聞き取り調査を実施した。また、ソーシャルイノベーターの教育手法に関し、全国の大学で開講されている科目のシラバス分析を実施した。 (3)教育手法・評価手法の実践:初年度にNPOと自治体と連携して開発した、地域課題解決に向けたアイディア創出に関する実践型演習を実施した。また、社会イノベーターの育成・リーダーシップ開発に向けた自己評価指標(セルフチェックシート)を教育実践において活用・分析した。 (4)公開セミナーの開催:震災復興、教育、まちづくり等に携わる社会イノベーター・NPOリーダーによるセミナーを、本年度合計12回開催した。特に、多様性の資質を備えたリーダー育成の手法開発に向けて、SOGI(多様な性)や震災復興におけるマイノリティの取り組み等にも焦点をあてた。彼らのライフヒストリーや成長のプロセス、ミッション、事業・活動内容と戦略、経営・人生哲学等について示唆を得た。 (5)研究成果の発信:本課題研究に関する成果を計15件、ARNOVA、ARNOVA-Asia、ICSEA、日本観光研究学会、人材育成学会等、国内外における学会報告・論文図書・研究会を通して発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、復興やNPO、ボランティア教育、ネットワーク分析について研究している若手研究者3名を研究分担者として追加し、研究体制を拡充した。適宜研究会を実施し、意見交換も行いながら研究を進展させた。 研究代表者・分担者ともに、各専門領域・役割分担分において、文献調査を進めるとともに、「NPOと行政の協働―仙台市の地域課題を解決するアイディアを考えよう」、「ゲームで学ぼう!NPOが社会課題を解決するには?」等の教育手法を実践した。また、「NPOセミナー・プライド月間企画 多様な性・LGBTとNPO」、「Challenge of Asuenokibou and Onagawa Town」等、計12のセミナーを開催する等、複眼的視点から順調に研究を進めることができた。 さらに、国内外の訪問調査も実施し、国内外関連学会での研究報告や雑誌論文・報告書など、以下を含めて計14件の研究成果を発信できた。 “Role of Educational NPOs in Empowering Youth and Community after Disaster,”“How to Foster Social Innovators through Collaborative Classes and Projects? Case Study of Cross-sector Collaboration,”“What Can Nonprofit Education Provide to Develop Competencies for Collaborative Leadership?”“The Development of the Social Entrepreneurship Education in Japan,”『東日本大震災と現代日本社会』。 したがって、2年目の進捗としては順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる19年度においては、以下の通り研究を進展させ、3年間の研究成果を総括し、学術的・実践的に幅広く発信する。 1)文献調査:本年度各調査結果をふまえて文献調査を進展・統合させる。 2)国内外調査:海外では、ニュージーラントやタイにおける社会イノベーター・NPO教育の実態を調査する。国内では、社会関係資本の視点から人材育成の促進・阻害要因やコンピテンシー、その波及効果および適用可能性について、インタビューや参与観察、フォーカスグループ等の調査を進めるとともに、分析考察のうえ結論を導出する。 3)教育・評価手法の実施・改善・検証:前年度に実施した、社会関係資本をふまえた教育・評価方法の実践・分析をふまえて、手法の改善を図る。具体的には、NPO論、ソーシャル・ビジネス論、社会イノベーター教育、ボランティア活動の担い手育成、震災復興の担い手育成、PBL教育等、代表者・分担者の各専門分野・担当科目において幅広く実施し、その有効性を検証する。 4)公開セミナーの開催:本年度も引き続き、社会イノベーター育成の中核となる、多様性や社会関係資本の視点から、公益財団法人と連携した信頼ギャザリング、プライド月間多様性セミナー、グローバルリーダー・キャリアセミナー等、社会イノベーターの研究者・実践者によるセミナーを幅広く開催し、講師や参加者との意見交換を行う。 5)研究成果の発信:18年度から19年度にかけての研究成果は、国際学会(ISTR-Asia、RAMICS)や人材育成学会など、内外の関連学会で発表し、改善に向けたフィードバックを得る。その結果得られた改善点を踏まえて研究の成果を取りまとめ、学術論文を投稿するとともに、実践に応用できるように提言を報告書にとりまとめる。さらに、年度末にシンポジウムを開催するとともに、報告書やウェブサイト等を通して、3年間の研究成果を幅広く国内外に発信する。
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Causes of Carryover |
次年度は最終年度であるため、主にこれまでの研究成果をとりまとめ、幅広く報告・発信する予定であったので、次年度使用額1,088,835円が生じた。これらは次の通り効率的・効果的に使用する計画をたてている。 (1)代表者・分担者計6名による、関連図書購入費、国内外での学会報告・調査旅費・学会参加費(ISTR-Asia、ARNOVA、RAMICS、人材育成学会、日本観光研究学会等)、論文投稿代・別刷代・英語論文校閲代(VOLUNTAS、NVSQ、Nonprofit Review、Nonprofit Management and Leadership、等)(約50万円)。 (2)公開セミナー(5-6回程度開催予定)講師謝金旅費。例:グローバル社会イノベーター・セミナー「国際機関編」「キャリア編」、プライド月間多様性セミナー、信頼セミナー、自己効力感と教育セミナー等(約20万円)。(3)本年度に取りまとめた『東日本大震災と現代日本社会』報告書印刷代および3年間の研究成果を発信する報告書印刷・英日ウェブサイト作成代・人件費(約15万円)。 (4)年度末に開催予定の、代表者・研究分担者を含む8名程度が登壇する、本科研の成果報告シンポジウム「仮題)社会イノベーターを持続的に育成・輩出するには?―多様性とソーシャルキャピタルの視点―」の講師謝金旅費・学外分担者3名の旅費・資料印刷代・人件費(約25万円)。
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Remarks |
2018年度に開催した社会イノベーター育成に関する公開セミナーの内容およびメディア掲載記事の例。(1)は当事者をはじめとする学生主体の企画運営により130名が参加した。(2)はNPOと自治体と協働し、学生が地域課題を解決するアイディアを考え報告する教育実践。その他、グローバル教養人、多様性人材、国際NGOと政治・グローバルキャリア、復興、まちづくり等、多角的な観点から、セミナーや報告会を開催した。
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Research Products
(19 results)