2019 Fiscal Year Research-status Report
再生可能エネルギー産業における競争力、アーキテクチャ、産業政策に関する比較研究
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17K03956
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
富田 純一 東洋大学, 経営学部, 教授 (30396824)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 風力発電 / 太陽光発電 / 国際競争力 / アーキテクチャ / 産業政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、風力発電と太陽光発電という2つの再生可能エネルギー産業を対象にして、製品・サービスの設計思想である「アーキテクチャ」概念と産業政策の 両面から企業の国際競争力への影響及び技術伝播のメカニズムを解明し比較分析することを試みた。従来、企業の国際競争力とアーキテクチャ、国際競争力と産 業政策との関係に着目した実証研究は進められてきたが、三者の関係を同時に分析した研究はほとんどなかった。再生可能エネルギー産業では、アーキテクチャ のみならず、各国のR&D・投資インセンティブなどの産業政策が国際競争力に及ぼす影響は大きい。本研究では、同産業を対象として、アーキテクチャの変化お よび産業政策が国際競争力に対してどのような影響を及ぼすのか、そのメカニズムの解明を試みた。 本年度は、産業政策とアーキテクチャの変化、国際競争力の三者間の関係について、より精緻な分析を行いつつ、太陽光発電産業との比較分析を試みた。国際競争力について は、市場データのアップデートを行った。アーキテクチャに関しては、風力関連企業のポジショニングの変化に関して分析を試みた。産業政策については、欧米中における再エネ政策について調査分析を進めた。 以上の分析から、風力発電産業は太陽光発電産業に比べ、長きにわたり緩やかな発展が見られたこと、しかし近年は中国市場において急速な発展が見られること、その要因として中国の産業政策とアーキテクチャの変化が影響していることなどが明らかとなった。 また太陽光発電産業においては、当初からオープンなアーキテクチャであり、各国の産業政策が後押ししたことで爆発的な普及が進んだことがみてとれる。こうした両産業の異なる発展過程において、関連企業がとりうる戦略も異なりうると考えられる。 今後は、以上の分析結果を踏まえて、両産業の比較分析を精緻化していくことが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究計画のうち、分析フレームワークの精緻化や市場データの収集についてはほぼ計画通り進めることができた。しかし、新型コロナウィルスの影響で、2020年2・3月に予定していた調査を行うことができなかったため、欧米中の風力発電産業の政策や関連企業の戦略に関する情報収集を十分に行うことが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査・研究成果を踏まえ、次年度は産業政策とアーキテクチャの変化、国際競争力の三者間の関係を整理し、太陽光発電産業との比較分析を行っていくことが課題である。そのために、本年度不足していた欧米中の風力発電産業の政策や関連企業の戦略に関する情報収集を行う必要がある。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウィルスの影響で、2020年2・3月に予定していた欧米中の風力発電産業の政策や関連企業の戦略に関する情報収集を十分に行うことが出来なかった。
(使用計画)2020年度の使用計画としては、風力発電産業を中心に国内外の企業・産業調査、国内外学会参加に関する支出を予定している。繰越額については、主として企業・産業調査等に支出する予定である。
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