2017 Fiscal Year Research-status Report
オムニチャネルを通じた小売店舗ブランド構築に関する実証研究
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17K03998
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
坂下 玄哲 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 准教授 (00384157)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オムニチャネル / 小売ブランド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年の流通チャネルにおける変化の一つであるオムニチャネルという現象に注目し、消費者のシームレスな買物経験が小売店舗ブランド形成にいかなる影響を与えるかについて、特に消費者の認知構造および行動特性といった視点から理論的、かつ実証的に検討を加えることを目的としている。オムニチャネルにおけるブランド構築という、理論的にも実務的にも重要な問題に消費者視点から接近することにより、(1)理論的には、ブランド研究における小売店舗ブランドイメージ構築と、流通研究におけるオムニチャネル戦略という研究課題の架橋を試み、同時に両研究潮流における主要な概念の精緻化を目指す。(2)実務的には、複数チャネルの効果的な統合戦略、および小売店舗ブランド構築といった問題に具体的な指針を提供することを試みる。 こうした研究目的を達成するために、研究期間である三カ年を通じて、①仮説抽出のための研究活動、および②抽出された仮説を検証するための研究活動、という大きく二つの研究ステージごとに、異なる複数の研究手法を用いて研究にあたる計画がたてられた。 初年度となる本年は、①仮説抽出のための研究活動として、以下の4つの研究活動を行った。第一に、関連分野における既存研究を包括的にレビューした。具体的には、オムニチャネル、顧客エンゲージメント、小売ブランドなどのキー概念について理論的な整理を行った。第二に、国内における小売店舗経営主体関係者にヒアリング調査を行った。第三に、国内外における商業集積において、実際に購買を行う顧客の観察調査を行った。第四に、国際学会にて研究報告を行い、関連分野の専門家と意見交換し、そこから得られたフィードバックから研究枠組の精緻化につとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画によれば、初年度である本年は、研究が取り組むべき仮説を抽出するための準備活動を行うことが目指されていた。先の項目で説明したように、文献レビュー、ヒアリング調査、観察調査、専門家との意見交換といった、異なる複数の方法で研究枠組の精緻化につとめることができた。発見事項については部分的にではあるものの国際学会にて報告し、フィードバック情報をベースに研究枠組の再構築といった作業を進めることができた。そのため、本年度の研究の進捗状況は「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も、本年度に引き続き、研究が扱うべき理論的課題について、仮説という形で抽出することを目指した研究活動を行う予定である。来年度は、本年度からさらに踏み込んだ検討を加えるために、よりトピックを絞り込んだ文献レビューを行う。研究枠組の精緻化のために実施される経験データの収集についても、ヒアリングや観察調査といったものに加えて、購買履歴データや広告露出データなど、可能な限り幅広いデータの収集に努める。収集されたデータについては、より深く分析することで、研究枠組の妥当性について可能な限りチェックしてゆくつもりである。
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Causes of Carryover |
国際学会報告1件について、別の国際学会報告の旅費が予想以上にかかってしまったため、やむなくこれをとりやめた(なお、報告については共著者が代替して行っている)。そのため、本年度の支出が予想を下回り、結果として次年度使用額が若干生じている。 これについては、次年度も既に複数の国際学会報告を予定しているため、そちらの旅費に充当するつもりである。
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