2018 Fiscal Year Research-status Report
少子高齢化時代における日本の流通システム-効果効率的価値共創に向けた基礎研究-
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17K04000
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 郁夫 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (70187996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 克義 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (30197090)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マーケティング / 消費者行動 / 商業 / 流通・ロジスティクス / 少子化 / 高齢化 / ネット・スーパー / 小売構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、少子高齢化が社会・経済一般のみならず流通システムに及ぼす影響ついて、先行研究や各種調査の結果を整理し、そのうえで独自の調査分析によって解明することである。今年度もこのような研究目的に沿って順調に研究が行われた。具体的には、研究期間の中間年として、初年度の成果を踏まえ新たな研究課題を設定して研究活動が行われた。今年度における研究課題とその成果は、次の通りであった。 第1の課題は、昨年度と同様に人口の減少、地域間での偏在、高齢化といった現象として捉えることができる少子高齢化が、総需要や消費構造にどのような影響を与え、ひいては日本のマクロ流通システムにどのような構造変化をもたらしているのかという点である。このような問題意識のもとに続けてきた研究に関して、まずは、研究協力者でもあるCharles Ingene氏らとの共同執筆論文が査読付き学術誌Journal of Business Researchに受理されるという成果をあげることができた。 第2に、少子高齢化の時代は、買物困難者の時代でもあり、断捨離も手伝って、メルカリ等のフリマアプリを使った消費者間取引が盛んになってきている。そこで第2の点であるが、フリマアプリを用いた消費者間取引における購買行動パターンについて実証的にアプローチする必要があると考えられる。こうした問題意識に基づいて、今年度は、独自に設定した研究仮説をテストするためのネット調査を実施した。今後は、学術論文に仕上げるべく、このデータを分析しているところである。具体的には、本調査研究は、研究協力者であるEmi Moriuchi氏と共に実施されており、この秋にモントリオールで開催される国際学術セミナーで報告後、査読付き学術誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績は、上の実績欄で述べた通りである。2つの研究課題について、研究分担者、ないしは研究協力者の協力も仰ぎながら研究を進めて来たことは、当初の予定通りである。また、2つの論文が研究成果として示され、専門学術誌(査読付き)に掲載されたことは、研究の進捗状況が適切であることを示している。他方で、次年度に着手する個別の研究テーマも生まれてきており、これに関しては、そのスピードという点で若干急ぐ必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
大手流通企業による少子高齢化への対応の実態と今後の在り方については、分担研究者である高嶋克義氏と研究継続中である。また、先にも述べたが、2019年度においては、カナダ・モントリオールで開催されるロイヤルバンク学術セミナーにおいてEmi Moriuchi氏との上記課題2の研究報告を行うとともに、研究協力者である、コンコーディア大学のMichel Laroche氏との研究交流を図る予定である。3年目は最終年度となるため、個別の研究成果のみならず全体としての結論について体系性をもってとりまとめていきたい。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも低コストで研究が進み、研究費の一部について次年度繰越となった。これは、以前、前倒し申請をして実施した調査が比較的安く済んだことなどの理由によるものであった。今年度は最終年に当たるため、具体的には、次のような活動を充実させることによって残額分の使用も行い、予定した研究計画全体を着実に実行することに務めたい。①来日中の海外研究者を積極的に研究室に招聘し、研究報告や研究交流会を実施する、②研究協力者である会津大学の八木橋氏を訪問し、地元、商店街や卸売商団地に関する情報を収集する、③その他、既存の研究課題に関連する文献の購入や学会報告の場を増やすなどによって理論基盤と研究発信力の強化に努める。
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Research Products
(3 results)