2017 Fiscal Year Research-status Report
Application of non-financial indicators in Small and Medium Enterprises -Achieving Corporate Value and Sustainability-
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17K04037
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 雅明 東北大学, 経済学研究科, 教授 (90202473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間普 崇 関東学園大学, 経済学部, 准教授 (10438749)
松田 康弘 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (70451507)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中小企業 / 企業価値 / 非財務指標 / ベイズ統計学 / 管理会計の原則 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はBSC(Balanced Scorecard)のフレームワークで中小企業における非財務指標についてBayesianアプローチを用いて分析しようとするものである。Bayesianアプローチは、これまで会計の実証分析で余り利用されることがなく、適用例がほとんどない。このため、平成29年度は分析モデルを構築するための基礎研究に多くの時間を費やした。その結果、今後2年間に行う予定の分析で用いられる基礎モデルを構築するための準備が整った。 今後の分析においては、過去に行った分析にBayesianアプローチを適用するという方向と中小企業から得られた非財務指標データに本研究で提案するモデルを適用するという2つの研究方向が考えられる。前者の方向を勧めていくためには、これまで行ってきた研究(非財務指標と企業価値の関係に関する研究)をまとめる必要があり、この点について、海外における2つの学会で報告を行った。 本研究の分析対象は中小企業であり、多くの中小企業では未だに管理会計システムの導入がなされていないのが現状である。中小企業に管理会計を適用していくためには、現在行われている管理会計実務を中小企業へ適用可能な形へと修正していくというアプローチも必要となる。この意味で、管理会計の根底に流れる基本的な考え方(原則)を検証することは大きな意味を持つ。本研究では、中小企業への管理会計を適用するための研究の一環として、CIMAにより公刊されているGlobal Management Accounting Principlesの日本語訳を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
会計学の領域でBayesianアプローチを用いた研究がほとんど行われていなかったため、昨年度は、ベイズ統計学の基礎を学び、今後利用していくモデルを構築するという作業に多くの時間を費やした。このため、予定されていた中小企業から実際の非財務指標データを収集するという部分が十分に行えなかった。 分析モデルについては80%程度の目途はついたが、今後、分析を行う上で必要とされる分析ツール(統計ソフト)の開発も必要になる。具体的には、Rを用いて分析を行う予定であるが、本研究の分析を行うためのツール(プログラム)を開発するための時間が必要とされ、この部分に多少時間がかかるものと考えられる。 一方、中小企業へ管理会計システムを導入するための研究については、Global Management Accounting Principles※(注)を検証することにより、予想外の進展を見ることができた。この研究方向は、当初、考えることができなかったものであるが、長い目で中小企業における管理会計システムを検討していく場合には大きな意義を持つものと考えられるため、今年度も継続していきたいと考えている。 ※(注)Global Management Accounting Principles published by CGMA(Chartered Global Management Accountants), 2017.青木・間普・松田は日本語版の翻訳を担当し『グローバル管理会計原則』として2018年2月に刊行した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は分析モデルを完成させ、さらに、分析ツール開発することが第一の目標となる。このためには、他領域における応用例を検討していく必要がある。現在、中小企業から実際の非財務データを収集するというプロセスが遅れているので、今年度中にはこれを行いたいと考えている。前述したように、これまでの研究成果にBayesianアプローチを適用していくためには、これまでの研究成果をまとめることも必要となるので、この点についても研究を進め、成果を発表していきたいと考えている。 管理会計に対する原則主義的なアプローチはGlobal Management Accounting Principlesにまとめられているが、これらの原則が実際の企業でどのように捉えられているのかを検証していくことにより、中小企業へ管理会計システムを導入する糸口が見えてくるものと考えられる。このため、実際に管理会計システムを導入している企業へのインタビューを行うことにより、このアプローチの有用性を探り、中小企業への適用を検討していきたい。
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Causes of Carryover |
学外の研究分担者に15万円を配分したが、今年度の利用はなかった。次年度、旅費と物件費で利用予定。
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