2018 Fiscal Year Research-status Report
経理部門の組織と役割に関する研究-管理会計に焦点を当てて
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17K04043
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
挽 文子 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (00251728)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経理・財務部門 / 管理会計 / IFRS / 経営管理 / 財務報告 |
Outline of Annual Research Achievements |
持続的に発展を遂げている企業がある一方で、経営破綻をする企業あるいは不正会計を行う企業が後を絶たない。本研究では、前者の企業群に焦点を当て、そうした企業における経理部門の組織と役割の特徴を明らかにしようとするものである。 このような研究の目的のために、平成29年度は文献研究とフィールドスタディを行ったが、平成30年度も引続き文献研究とフィールドスタディを実施した。昨年度との大きな違いとしては、先行研究を参考にしながら、複数の企業に対するフィールドスタディの研究方法として、オーラルヒストリーを採用したことである。この研究方法は政治学などの分野で用いられる方法であるが、特定の企業の経理部門の組織と役割についての資料的蓄積が少ない現状を鑑みれば、本研究にとっても有用な方法である。筆者は、『管理会計の進化-日本企業に見える進化の過程-』においても、入社後のライフヒストリー、テーマオーラル、組織オーラルという3つの形態によるオーラルヒストリーを暗黙的に採用した。本研究では当該研究方法の詳細を含めて研究成果を出す。 本年度は、これに加えて、持続的に発展を遂げている企業群のデータベースを作成した。「持続的に発展を遂げている企業」の定義については、東証一部上場企業を対象にシンプルなもの(営業利益や純利益などが40年間にわたって継続して黒字である)を採用した。またこの条件を満たす企業群を採用する会計基準の違いによって3つに分類した。作成したデータベースに基づき複数の分析を行った。質問票調査については、連携研究者および研究協力者と研究会を開催して引続き検討中である。 さらに、外資系企業のコントローラー部門で勤務した経験のある実務家および現在も勤務中の実務家に対するインタビュー調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データベースの作成のために研究協力者を2名増員した。 また、質問票調査のために実証研究で業績のある財務会計研究者2名にも研究会に参加してもらうとともにメールでのやりとり等を通じて、先行研究を踏まえた本研究の質問票調査に関する分析フレームワークを検討中である。 フィールドリサーチについてはリサーチサイトを増やすとともに、インタビュイーの数についても順調に増やしている。これに伴いテープ起こしに時間がかかるため、前述の研究協力者にはこれも担当してもらっている。 定性的な研究方法としてオーラルヒストリーについての検討を行っている。 総じておおむね順調に進展している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、連携研究者と研究協力者などの協力を得ながら、文献研究とフィールドスタディを実施する予定である。インテンシブなインタビュー調査や内部資料の閲覧を行うことに加えて、質問票調査を実施する予定である。これについては、予算の制約もあることから、インターネットもしくは企業のイントラネットを通じての実施など、実施方法の検討が課題となっている。 研究成果について、研究実施計画に記述した内容に加えて、平成31年度の日本原価計算研究学会全国大会統一論題テーマ「もう一度実務に戻る」のもとで、座長として経理・財務部門の組織と役割について報告者と共に検討する。また、日本会計研究学会全国大会統一論題テーマ「会計学研究の将来を考える-管理会計研究の多様性-」のもとで、報告者として定性的研究とくにオーラルヒストリーの有用性と管理会計研究の実務への貢献について報告を予定している。
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Causes of Carryover |
質問票調査の実施のため次年度使用額へと回した。
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