2019 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical and Empirical Research of Tax Avoidance and Geographic Segment Disclosure
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17K04068
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村上 裕太郎 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 准教授 (30434591)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 租税回避 / 利益移転 / 親子上場 / 価値関連性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多国籍企業の租税回避と所在地別セグメント情報の開示について、理論的・実証的に分析することを目的としている。本年度は、構築した理論モデルの修正・拡張、およびその派生論文を執筆し、研究会報告を行なった。また、海外学術誌に投稿した関連論文の改訂・再投稿も行なった。 新しいモデルでは、親会社の関連会社に対する株式所有割合が価値関連性および利益マネジメントに与える影響を分析している。このモデルは、直接的に租税回避を取り扱ったものではないが、親会社および関連会社間の利益移転が資本市場に与える影響をモデル化しており、租税回避も一種の利益移転であるため、モデルの親和性は非常に高い。 分析の結果、以下のことが明らかになった。第1に、連結利益の価値関連性と関連会社所有割合の関係は、関連会社が上場しているか否かで異なる。関連会社上場時、価値関連性は所有割合に関して増加的となるが、関連会社非上場時、価値関連性は所有割合に関して減少的となる可能性がある。第2に、関連会社から親会社への利益マネジメントは、関連会社が子会社のとき、子会社非上場時は所有割合に関して減少的であるが、子会社上場時は所有割合に関して増加的となる可能性がある。第3に、関連会社非上場時と上場時の利益マネジメント水準を比較すると、連結利益の価値関連性が高く、かつ、関連会社利益の価値関連性が正の場合、非上場時の方が大きい。 上記の研究成果を、セミナー(分析的会計研究会)にて報告し、参加者から貴重なコメントをいただいた。
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Research Products
(2 results)