2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Study on the Reality and Mechanism of becoming "Business-Like" of the Civic Sector in Japan
Project/Area Number |
17K04093
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仁平 典宏 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (40422357)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 市民社会 / NPO / 社会運動 / ビジネスライク化 / 新自由主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、日本の市民社会組織の「ビジネスライク化」と呼ばれる変化に焦点を当てて、そのメカニズムや諸帰結を明らかにすることである。 第一に「首都圏の市民活動団体に関する調査」を再分析し、「首都圏の市民社会組織における『ビジネスライク化』の諸相―2006年・2019年の質問紙調査データの分析から」という論文にまとめた。その結果、2006年から2019年の間におけるビジネスライク化の進行は限定的で、それが政治性やミッション達成の自己評価に与える影響は一方向的なものでなく、抑制/促進するベクトルが混在していたことがわかった。ただし事業収入(補助金・助成金もだが)への過度な依存は、政治的自律性の喪失につながりやすいことは示された。だが、財源の多元化という方向性の中で、経済活動・事業を行うこと形の場合そのリスクは小さいことが分かった。 第二に、助成団体の選考基準の変容について検討するため、公益社団法人助成財団センターが所蔵している1995年以降の採択課題に関するデータ(約1000ケース)を用いて、経年的に採択されやすい課題がどう変化してきたのか分析し、効果検証やガバナンスに関するイシューに資金が集まる傾向があることを明らかにした。これもビジネスライク化の一つの現れである。以上の分析結果は関東社会学会にて報告した。 第三に、企業が市民社会にどう関与し、それがどう変化してきたかを明らかにするため、2013年~2019年の全てでCSRレポートを発表している168社を対象に計量テキスト分析を行った。かつては営利事業外部の活動でCSRを定義していたのに対し、徐々に営利事業と不可分な形でそれを定義するように変化してきたことを明らかにし、教育社会学会で報告した。
|
Research Products
(3 results)