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2018 Fiscal Year Research-status Report

複数回の被災を乗り越えて生きる女性のライフヒストリーから学ぶ新しい生活への転機

Research Project

Project/Area Number 17K04110
Research InstitutionIwate University

Principal Investigator

竹村 祥子  岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (20203929)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords東日本大震災 / 三陸地域 / ライフヒストリー / 転機
Outline of Annual Research Achievements

調査対象者は、1918年から1930年の12年間に生まれた世代である。被災経験を聞くと2011年の東日本大震災の被災経験の話のほかに太平洋戦争での被災経験などが語られる。昭和8年の昭和三陸大津波の時に、幼児で被災したか、学齢期に被災したか、学校を卒業した時期かによって、被災という転機後の役割が異なっていることがわかってきた。同じ家族の娘であった10代前半の長姉と乳幼児期の末妹では、被災を機にそれぞれの女性に課される家族内役割が異なっていく。末妹は、津波で母親が亡くなっても、母代わりの祖母や姉たちに育てられ、女学校へ進学する道をたどる。一方の長姉は、4月から女学校へ進学する予定を変更して、家業や家事を任されるようになり、跡取りの役割を担うことになる。この家族の例は、聞き取り調査の対象者に姉妹が含まれていたことでわかってきたことであった。
太平洋戦争での被災という転機も、数年の出生年差で女性たちの行路を分けている。昭和一桁生まれの女性に分岐があるようで、女学校へ進学して、女学校在学中に勤労動員や集団疎開を経験する女性と、卒業後に女子挺身隊に入って、他地域の工場で働くかに分かれている。それぞれの世代に別のパターンがあるのか、三陸地域固有のパターンがあるのかについては、今後岩手の内陸地域在住者等と比較して確認していく必要がある。
津波被災後の転機は、自然災害や戦災からの復興事業とのかかわり方や生活の再興にどのような立場でどのようにかかわるかで違っている。岩手県沿岸の三陸地域では,「一連の出来事から成る過程」の次に、または重なって 「一連の出来事から成る過程」が経験されている。この道筋が三陸地域に生活する複数回の被災を乗り越えて生きる女性のライフコース・パターンとみなしてよいかは、今後も検討する必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成30年度は、前年までの聞き取り調査対象者を再訪して確認をとることができた。また新たな聞き取り対象者3名に聞き取り調査を行うことができた。加えて、他世代の経験についても、他の資料や文献から、比較検討を進めることがてきるようになった。
平成30年度には、前年度に入手できなかった昭和期の保健活動資料や文献を入手できたことで、語られた被災経験が、歴史資料にはどのように載せられているのかの検討が進められるようになった。
本研究と関連の深い既存の研究領域、1)ライフヒストリー研究、2)ライフコース研究、3)女性史研究、4)郷土史研究の文献収集が進み、最終年度である平成31年度の課題である地域社会発展の経緯と個人の生活変化、地域産業の発展と家族の生活を支える資源との関連について具体事例を検討する準備が整った。

Strategy for Future Research Activity

平成31(令和元)年度は、内陸在住の対象者への聞き取り調査をすすめる。特に東日本大震災被災時の対応とこれまで経験された震災の経験とのかかわりがどのように語られるかに着目しながらデータを取りまとめ、岩手県三陸沿岸地域特有の資源と内陸地域に移住した女性の地域から得られた資源の違いと共通する要素を明らかにする。
また平成30年度に収集した1)ライフヒストリー研究、2)ライフコース研究、3)女性史研究、4)郷土史研究の文献資料から、女性のライフコースにおいて重要な転機となる出来事を明らかにしたうえで、1.地域の復興事業等は、個人や家族の生活資源となっていたか、2.家族資源としてどのようなものが活かされたのか、親、きょうだい、親族との関わりがどのような助け(差し障り)となったか、について考察する。また、3.岩手県内陸部に在住または移住した女性たちのライフヒストリーを収集、分析をすることで、岩手県沿岸地域に在住する家族や女性の生き残り戦略と、移住することで家族を活かす家族戦略の違いや特性を明らかにする。さらに4.東日本大震災被災直後の話と、被災後8年経過した現状から、被災→復興のとらえなおしがあるかについて再度、聞いておきたい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 複数回の被災を乗り越えて生きる女性のライフヒストリーから学ぶ新しい生活への転機ー昭和三陸大津波を経験した女性への聞き取り調査を手がかりとしてー2019

    • Author(s)
      竹村祥子
    • Journal Title

      家族社会学研究

      Volume: 第31巻第1号 Pages: 65-71

  • [Presentation] 釜石調査・研究との関わり2018

    • Author(s)
      竹村祥子
    • Organizer
      東北大学小野田研究室×危機対応学 意見交換研究会
  • [Presentation] 人生・生活・社会 「幸福/well-being」 を考える 基調報告2018

    • Author(s)
      竹村祥子
    • Organizer
      第35回 現代行動科学会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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