2020 Fiscal Year Research-status Report
災害からの復興過程と被災地支援についての比較社会学的検討
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17K04117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 亮 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (40313788)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会学 / 災害 / 復興 / 自立 / 支援 / 実践知 / ボランティア経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の研究は、新型コロナウイルス問題の影響で多くを断念せざるをえなくなった。すでに、前年度末には新型コロナウイルスの流行が始まっており、予定していた調査出張を取り止めにしたが、周知の通り流行はその後さらに拡大し、緊急事態宣言も政府から発令された。このような情勢下において、調査を予定していた岩手県や佐賀県、熊本県などに、流行の中心である東京都から出向くのは控えるべきと判断し、社会情勢の変化を待った。しかしながら、状況は好転せず、令和2年度中はこれらの調査出張を諦める運びとなった。 僅かに研究活動ができたのは、オンライン会議システムを使用した情報収集である。コロナ禍の影響でオンライン会議システムが急速に普及し、災害ボランティアの分野でも、活動報告をオンライン会議システムを利用して実施する機会が見られるようになった。情報収集の結果、次のような新たな動きがあることが判明した。 令和2年7月豪雨では熊本県を中心とした九州南部で大規模水害が発生し、住宅が流されるなどの甚大な被害が発生した。一方、コロナ禍の影響で遠方からのボランティアが集まらない事態が生じ、ガレキ撤去や泥のかき出しなどの活動を行うにあたり、自助や近隣での共助しか機能しない状況となった。1995年の阪神淡路大震災以来、日本に定着してきた災害ボランティア文化も、コロナ禍の影響を被り、大きな転換を余儀なくされるに至った。被災地NGO恊働センターでは、インドネシアのPOSKO(災害時に自然発生的に立ち上がる近隣支援拠点)を参考にした日本版POSKO支援のあり方を今後の被災地支援のモデルとして提言している。 その他として、被災地NGO恊働センターの頼政良太氏、災害対応NPO MFP代表の松山文紀氏を講師として、被災者支援に関するオンライン講演会(「災害復興と法・社会」オンライン講演会)を企画、実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、コロナ禍の影響で現地調査が全く実施できなかった。このため、当初予定していた盛岡のハートニット・プロジェクトの事例の継続調査、関係者との対話による研究成果の検証作業が実施されていない。 神戸の支援者との対話は、オンライン会議ツール等でごく一部は実施できたものの、本格的な調査はできなかった。また、彼らが展開した令和2年7月豪雨における熊本での活動についても、現地調査ができていないため、概要の把握にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に実施できなかった現地調査がそっくりそのまま持ち越しとなっている。 コロナ禍に関する社会情勢が好転すれば、すみやかにこれらの調査を実施したいと考えているが、令和3年5月の段階ではまだ終息が未だに見通せない状況であるため、現地調査はすぐには困難だと判断している。令和3年度夏季以降に調査を再開したいと考えているが、状況次第では諦めざるを得ないかもしれない。令和3年度は研究の最終年度に当たるため、成果のとりまとめも進めていかなければならないが、追加の調査が実施できなければ、実質的には令和元年度までの研究成果で報告をまとめるか、翌年度への繰り越しを行うかを判断する必要が出てくる。いずれにしても、研究費の未執行分が生じる可能性も考慮する必要がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス問題の影響で、予定していた調査のための出張を悉く見送らざるを得なくなったのが次年度使用額が生じた理由である。 感染拡大が続く状況下であるので、現地調査の実施には引き続き慎重にならざるを得ないが、状況の好転が見られるようになったら調査を再開する予定である。具体的には、岩手県盛岡市及び同県沿岸部への調査出張、および兵庫県神戸市への調査出張、熊本県球磨川流域の水害被災地が主たる出張先となる予定である。
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Research Products
(1 results)