2017 Fiscal Year Research-status Report
「地方消滅」言説下における、脱「選択と集中」型まちづくり形成過程に関する比較研究
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17K04132
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
矢部 拓也 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (20363129)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | まちづくり / 中心市街地活性化 / 社会的企業 / ソーシャルイノベーション / リノベーション / サイクルツーリズム / インバウンド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地方創生「選択と集中」政策下での,日本型新自由主義的まちづくりの特徴である,保守主義的・中央集権的方向への圧力構造と対抗を,①既存の行政主導で,日本型まちづくりの典型パターン(行政主導・大型開発),②民間から生まれた「新しい」まちづくりが,行政に取り込まれるパターン(水平展開指向型),③民間から生まれた「保守革新系」まちづくりが,自立性を失い,迷走しつつ,行政の影響が大きくなっているパターン(地方名望型),④民間から生まれ「新しい」まちづくりの試行を継続し圧力に抗しているパターン(ソーシャルイノベーション型・公民連携,リノベーション,インバウンド観光)の4パターンの比較をもとに明らかにすることを目指している。 本年度は,④ソーシャルイノベーション型に分類される事例を中心に視察および聞き取り調査を実施した。公民連携を進めている鹿屋市,岡崎市。インバウンド観光型として,大型客船が頻繁に来る長崎市,インバウンドサイクルツーリズムを試行している,小豆島,長崎県大村市,しまなみ海道,北海道の調査を行った。また,新幹線開通により多くの外国人が訪れている金沢市の視察も行った。加えて,ソーシャルビジネスである,気仙沼ニッティング(震災復興),恋する豚研究所(障害者雇用),の視察も行った。 新たな研究対象として,今後のリニア開通により再開発される,名古屋駅西口の調査を開始した。行政主導の再開発計画が進む中,その中で地元まちづくり協議会のプランを入れ込む動きがあり,今後の行方を継続的に調査を行っている。 また,③地方名望家型のまちづくり事例である滋賀県長浜市も継続的に調査を続けており,本年度は曳山祭りのフィールドワークも実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,インバウンド観光に対応する,北海道をはじめとするサイクルツーリズムの参与観察に大部分の予算と時間をかけてしまい,「小資本独立リノベーション型」の事例調査をすることができなかったために,当初予定に比べて進捗状況はやや遅れている。 ただし,期せずして,台湾の中華大学の日本でのサイクルツーリズムに同行する機会を得ることができ,彼らとのラポール形成を得ることができ,今後,彼らが開催する台湾でのサイクルツーリズムに参加する可能性がでたことは,当初は予想しておらず,参与観察による大きな成果である。また,インバウンドサイクルツーリズムは,本研究の背骨の一つになりそうであるので,今度も継続して調査を進めて行く。 また,本研究以前から継続的に調査を行ってきている滋賀県長浜市において,曳山祭りがユネスコ登録されたことから,インバウンド対応を開始し始めた。インバウンド観光においても,本調査の北海道の事例は,ニセコのような民間主導であるが,近年は行政主導も増えてきている。日本政府がインバウンド観光を奨励しているので,④以外のパターンにおいても,観光の資源は含めて議論しようと考え始めてはいるが,現状は,全体モデルには組み込めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
いわゆるソーシャルビジネスと呼ばれる,震災復興の気仙沼ニッティングや障害者雇用の恋する豚研究所の視察をする機会を得たことで,④ソーシャルイノベーション型にこれらも含めて議論する必要を感じた。現在,調査が進んでいない,小資本型イノベーションの事例である,善光寺や岡山などの民間主導で展開されている事例の調査を進め,これらの新しい事例を含めた,まちづくりの形成過程の理念型づくりを次年度は進めて行きたい。 また,30年度は,②水平展開が行われている,リノベーションスクール事業と,徳島県内で行われているサテライトオフィス事業の調査を実施する予定である。これらは,④ソーシャルイノベーション型に比べると,行政との関係が強いという特徴を持っているので,まちづくりのおける「行政」の意義について,考えて行きたいと考えている。 また,北海道のサイクルツーリズムおよび,31年度に集中的に調査を行う名望型の長浜市の調査は,本研究の骨格となる事例なので,本年度も継続的に調査を行って行く。
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Causes of Carryover |
本年度は,インバウンドサイクルツーリズム関連の事例調査に多くの予算と時間をかけてしまい,小資本独立型の調査が全くできなかったため,次年度の調査に使用する。
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