2017 Fiscal Year Research-status Report
福島第1原発周辺自治体における除染と帰還の実態研究
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17K04164
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 克春 神奈川大学, 人間科学部, 非常勤講師 (40636883)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射性物質対処特措法 / 除染 / 住民関与 / 処理方法 / 処理水準 / 費用負担 / リスクコミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカのCERCLA(通称:スーパーファンド法)の下では、汚染サイトの処理方法・処理水準の決定において、幅広い人種・階層の人々の関与を求めるCommunity Advisory Group(以下、CAG)という制度がある。本年度は、本制度についての文献・資料調査を行い、翌年度の現地調査につなげた。 本制度は、アメリカにおいて、人種・所得の差異による環境リスクの多寡をめぐるEnvironmental Justice(環境正義)を背景として作られたものである。社会的弱者・マイノリティーである有色人種や低所得層にアウトリーチし、彼らの積極的な関与を求めるものである。CAGは、汚染発覚当初から汚染サイトの情報共有や処理方針に積極的に関わる。EPA(アメリカ環境保護庁)はCAGから出された質問に必ず答える義務を有する。最終的な方針決定権限は、EPAが持つが、CAGはrecommendation(勧告)という形で方針に対して関与することができる。 本制度の特徴としては、CAGが独立した専門家を雇うことができるよう、EPAから上限5万ドルの補助金が出る点である。これにより、CAGがEPAから独立して、交渉力を得ることが出来る。 調査サイトとしては、Georgia,South Carolina州にまたがるSavannah River Site を選定した。本サイトは、核兵器の弾頭に使用する核物質の製造工場があり、放射性物質・重金属・VOCによる土壌・地下水汚染が存在し、現在処理を進めている。また、核反応炉・製造工場の閉鎖に伴う核廃棄物の処理も現在進めている。本サイトにおける住民関与のあり方の研究を通じて、福島における除染・廃炉の行方との比較考察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、アメリカ調査に注力しているため、福島第1原発周辺自治体の現地調査がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、アメリカのCERCLAの下での放射性物質による汚染サイトの現地調査と、民間所有地の汚染サイトの現地調査の双方を行う。同時に福島第1原発周辺自治体の現地調査も行う。
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Causes of Carryover |
本年度はWebからの資料調査が大半であった。翌年度は複数の海外調査を予定しており、大きな使用額を必要とする。
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